「代金請求」画面がどうしても消せない アダルトサイトで新手のウイルス感染

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   ワンクリック詐欺が問題化するなか、ウェブサイトの閲覧者にコンピューターウイルスをダウンロードさせたとして、京都、和歌山、埼玉の3府県警は2012年1月18日、ネット広告会社社長(33)ら6人を不正指令電磁的記録供用容疑で逮捕した。

   このウイルスは、アダルトサイトの料金を請求する表示がPCの画面に張り付いて取れなくなるというやっかいなもので、1年ほど前に急増。国民生活センターや情報処理推進機構(IPA)が注意を呼びかけていた。

再起動しても画面が消えず、お金支払う

   警察の発表によると、逮捕された6人は、自らが運営するアダルトサイトに「動画再生」のボタンを表示させ、ボタンをクリックした利用者にファイルをダウンロードするように促した。2011年10月5日午後、山梨県内の自営業の男性(68)がこのファイルをダウンロードし、男性のPCにウイルスを感染させた疑いが持たれている。このウイルスに感染すると、サイトの料金を支払うように求める画面がPCに表示され、再起動しても画面が消えない状態に。男性は画面に表示されたとおり、6万9000円を支払ってしまったという。この男性以外にも、少なくとも被害者は数百人、被害額は1200万円にのぼるとみられる。

   このウイルスの存在がクローズアップされるようになったのは、1年ほど前のことだ。国民生活センターによると、「アダルトサイトの請求画面がパソコン画面に張り付いて取れない!」という相談が急増。届け出件数が09年度には9300件だったのに対して、10年度には約3倍の2万7000件以上に達している。11年度は、さらに増えることが確実だ。

動画サイトからアダルトサイトに誘導されてしまったケースも

   具体的な被害事例としては、

   「アダルトサイトを検索して選んだサイトで3つの質問にそれぞれ「はい」のボタンを押して次の画面に進んだら『登録が完了した』『3日以内に70,000円入金するように』とパソコンに請求画面が表示された」(30代男性)

と、アダルトサイトを見ていて被害にあったケースがある一方、

   「動画サイトで、無料動画を見ていたところ、いつの間にかアダルトサイトに接続された。アダルトサイトの確認画面では、年齢認証や業務用のパソコンかなどに答えたところ登録となりパソコンに12万円を支払うようにとの請求画面が表示された」(30代女性)

と、動画サイトのリンクから意図しない形でアダルトサイトに誘導されてしまったケースもある。

   一連の操作では、ファイルをダウンロードするように求められる場面がある。具体的には、

「このファイルを実行または保存しますか?」

といった画面が出るが、これに対して「実行」を選ぶと、ウイルスに感染することになる。

復旧には「システムの復元」という手順が必要

   感染すると、

「ご入会までに確認させて頂いた通り、料金が発生しておりますので、期間内にご入金を」

といった文言の画面がPCに表示され続けることになる。

   IPAによると、一度感染してしまった場合、復旧には「システムの復元」という手順が必要だ(ウィンドウズXP、Vista、7の場合)。ただし、これを行うと、ある時点以降にインストールしたソフトの情報は消えてしまう。

   また、XPよりも古いOSを使用していたり、システムの復元に失敗した場合は、PCを初期化するという大がかりな作業を強いられることになる。

   アダルトサイトの質問に答える中で、「利用規約に同意して先に進む」という項目があることも多いが、利用規約の文字が非常に小さかったり、背景と見分けが付かない色で表示されたりするケースもある。大半の場合、利用規約には高額の料金が発生することが書かれている。

   いわゆる「ワンクリック請求」を行うウェブサイトでは、違法箇所を見つけることが困難な場合もあることから、料金を支払う必要があるか心配な場合は、消費生活センターや自治体無料弁護士相談などに相談することを呼びかけている。

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