10勝を超えるための壁は「変化球」と「登板間隔」
ダルビッシュへの期待はとてつもなく大きい。レンジャーズは命運をかけたといっていいほどである。「少なくとも15勝」との声が起きるのは当然だろう。開幕投手は十分ありうる。それは「今年のレンジャーズはダルビッシュが軸」をファンに伝えるメッセージとなるのだ。
関心はダルビッシュがどこまで活躍するかにある。「通用する」のはだれもが認めるし、異論はないだろう。10勝はかなり可能性がある。
あと5勝の上積みはどうか。この点で気になるのは、ダルビッシュは「意外と変化球が多い」ことで、これは何人かの評論家が指摘する。変化球は速球より怖さがないから慣れると抑えられなくなる、という示唆だ。
それと登板間隔が中4日になった場合の調整。日本では中5日が普通だった。1日短縮された場合、シーズンが深まると疲労の恐れがある。このローテーションには松阪も悩んだ。
ダルビッシュに大活躍をしてほしいと願う日本のファンも多いだろうが、一方で日本のプロ野球の沈滞を心配する。楽天のエース田中将大との投げ合い、西武のホームランバッター中村剛也との対決などが見られない。「入場料を余分に払っても見たい選手」がまた一人いなくなった。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)