指導の一環が、生徒に「セクハラ」と認識される場合も
保護者側と学校側の主張が真っ向から対立する中、松浦理事長は「生徒の気持ちを傷つけてはならない」と繰り返し強調する。セクハラなしの結論のため監督への処分は行われず、チアリーディング部も活動を続けている。ただ、部員16人のうち主力の2年生10人が抜けてしまったため、このままでは大会の出場はままならず、部内のチームワークにも心配が残ったという。
部活におけるセクハラ行為の認定は、非常にデリケートな問題だ。インターネット上の質問投稿サイトにも、「顧問にセクハラされた、暴言を浴びせられた」という悩み相談をたびたび見かける。本当に指導の一環だったつもりが、生徒に「セクハラ」と認識される恐れもある。逆に実際にセクハラ行為を受けたとしても、相手が認めない限り後から証明するのは難しい。
最近では、大学の柔道部員に対する準強姦罪で起訴された、オリンピック柔道金メダリストの内柴正人被告の事例が記憶に新しい。この時は、本人がセクハラ行為を否定したものの大学側が「クロ」と断定し、逮捕される前に懲戒解雇処分にしている。また米国でも、セクハラをめぐる一大スキャンダルが起きた。名門大学のアメフト部のコーチを長年務めた男性が、15年間にもわたって部員の学生への性的虐待を繰り返していたというのだ。このコーチも関与を否定したものの逮捕、起訴されたうえ、アメフト部監督や大学の学長までも解任される騒動に発展している。