すべてのリンクを監視することが求められる
現在下院で審議中の法案は「オンライン海賊行為防止法案」(SOPA) と呼ばれ、海外のウェブサイトによる米企業の知的財産権の盗用を防ぐことを目的にしている。例えば、ウィキペディアやグーグルなどがリンクを張る外国のサイトのなかで、映画、テレビ番組、音楽などを無断で違法コピーするサイトがあれば、リンクを解除する義務が生じる。もし見落としたりすれば、ウィキペディアなどが処罰対象になるので、各サイトは膨大な労力を使ってすべてのリンクを監視することが求められるわけだ。ウィキペディアやグーグルは、悪質サイトを締め出す手段として検閲ではなく、より賢明な技術的な解決策があると主張している。
ちなみに、同様の法案―「知的財産権保護法案」(PIPA)― が上院にも提出されている。
今年は選挙の年でもあるので、議員は有権者の動向にとりわけ神経質になっている。オンライン抗議運動に賛同が集まるなかで、法案への支持をひるがえす議員が続出しているようだ。PIPAの起草者のひとりであったルビオ上院議員(フロリダ州選出)はさっそく支持を取り消した。同様にSOPAの支持者であったクェイル下院議員(アリゾナ州選出)も起草者のリストから脱落することを表明している。(在米ジャーナリスト 石川幸憲)