経営の自由度が損なわれるのを恐れ、東電は抵抗
だが、東電は経営の自由度が損なわれるのを恐れ、抵抗している。東電と、政府が出資する原子力損害賠償支援機構が3月にまとめる事業計画でも最大の焦点になるが、これに電気料金の値上げ問題も絡む。東電は2012年1月17日、4月から企業向けの電気料金を平均約17%値上げすると発表した。さらに、家庭用も値上げしたい考えで、「値上げで収入を増やし、資本注入を回避できないまでも極力注入額を抑え、経営権保持を狙っている」(経産省筋)という。
枝野経産相は「『値上げは電気事業者の権利』という考えは改めてほしい」と牽制している。資本注入と値上げの連立方程式を 解くのは容易ではない。
こうした議論の最終的なゴールは夏をメドとする新しいエネルギー基本計画だ。「脱原発」が焦点だが、計画の原案をつくる経産省の総合資源エネルギー調査会は原発推進、慎重・反対の意見対立が深刻で、どう決着するか、「見通しは全く立っていない」(経産省筋)。肝心の経産省が、これまでのエネルギー行政への不信に加え、インサイダー事件で威信が一段と揺らいでいる。
消費税引き上げを巡り3月以降、政局は緊迫化する恐れがあり、電力を巡る議論の先行きも不透明感が増している。