損失隠し問題で財務状態が悪化したオリンパスの資本・業務提携相手探しが本格化している。オリンパスは既に複数の証券会社に提携先探しを委託しており、業界で「ドル箱」の内視鏡事業をめぐる争奪戦が激しさを増しそうだ。
オリンパスは損失隠しの発覚を受けて過去の決算を修正した結果、2011年9月末時点の自己資本比率が4.5%まで低下し、予想以上の財務の傷みが判明した。
提携相手は国内企業から選ばれる可能性高い
資本増強が喫緊の課題だが、世界で圧倒的なシェアを持つ内視鏡事業は堅調で、社内には毎年の利益を地道に積み上げて自力で改善していく選択肢にこだわる声もある。
しかし、一連の不正でオリンパスの信用は失墜し、特に海外投資家の視線は厳しい。「こつこつ時間をかけて内部留保を積み上げるやり方では市場から見放される」(オリンパス関係者)可能性もあり、オリンパスや取引銀行は他社との緩やかな提携による再建を第1の選択肢に位置づけているという。
政府内に「オリンパスの技術を海外流出させてはならない」との意見が根強いこともあり、提携相手は国内企業から選ばれる可能性が高い。当初から本命として取りざたされているのは、医療分野に注力している富士フイルムホールディングス。11年末には超音波診断装置に強い米医療機器メーカー、ソノサイトの買収を決め、「次はオリンパス」(業界関係者)との観測も流れた。