「怖い。指導されたくない生徒涙目」の声も
問題ないとする理由は何か。記事を受け、インターネット上では「怖い。指導されたくない生徒涙目」といった不安感を表明する意見も並んでいる。
講道館の担当者によると、受講する柔道担当の体育教員は、「白帯ではあっても受け身すら知らないド素人というわけではない」。
大学時代に受けた柔道授業など「それなりの経験」を経ている上に、初年度講習から次の講習までの1年間の間に、練習などを重ねておくように、という意味合いがあることも考慮に入れている。さらに、体育教員としての運動能力の高さも評価している。
通常の「初段になる試験」では、「修行年限1年半以上」の場合、昇段試合で「3点」(同級者に勝てば1点、引き分け0.5点など)取ればよい(ほかに規定の技披露=形・型=や筆記試験など)。「1年半」未満でも、試合で高得点をとれば黒帯を得ることができる。
複数の高校柔道教育関係者によると、「素人で入学した1年生が、1年目に黒帯を取ることもある」そうだ。
愛知県柔道連盟の米田吉孝会長に聞いてみると、「(連盟の黒帯認定の仕方に)問題があるのでは、という指摘が今回なされたので、今後正式に講道館に相談し、問題があるという見解が示されれば修正していきたい」と回答した。
ちなみに東京都高体連の柔道関係者によると、都では「体育教員による黒帯取得の際の例外扱い」は聞いたことがないという。一方、大分県では「2日の講習で黒帯」(朝日新聞ネット版、1月17日)という同種記事が出たが、講道館や大分県柔道連盟幹部によると「講習受講者のうち、自信がある一部(2011年度は3割程度)」が昇段試験を受け、全員合格した。やはり講道館は「(対応に)問題なし」と県の連盟に伝えたという。
とはいえ、「例外扱い」には違和感を覚える人もいるようだ。ネット上では「(この)事実を知ったら、これからは黒帯全員を疑って見るね」という声もあった。一方、「オレも柔道初段だが、高校の授業レベルで簡単に取れた。体育教師は強いんでは」という指摘もあった。
講道館によると、2010年度に黒帯を取得した人は、男女合わせ約2万3600人だ。