国内林業再生への動き 被災者の仮設住宅も国産の木材で

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馬を使った伝統的な木材運搬法の復活を支援

岩手県遠野市で古くから行われている「馬搬」
岩手県遠野市で古くから行われている「馬搬」

   岩手県遠野市には、「馬搬」(ばはん)と呼ばれる伝統的な木材搬出法がある。山林から切り出した木材を、馬の後部に取り付けた運搬器具にワイヤーで結びつけて運び出すのだ。馬には、1回の運搬で1トン程度の木材を引っ張る力がある。真冬の遠野は日中でも凍えるほどの寒さだが、1月10日も雪の残る山道を、数人の馬搬技術者が馬を操りながら巧みに木材を運び出していた。

   山林では大型の重機が入りにくい場所もある。馬搬技術者の岩間敬氏は、「細い1本道でも馬なら通れるし、上り坂でも動ける」と説明する。しかし近年は木材搬出も機械化が進んだため馬搬の後継者が不足し、全盛期には遠野に40人を数えた技術者も今では3人まで減ってしまった。「国際森林年国内委員会」では、国内林業の活性化策のひとつとして自然環境にやさしい馬搬に注目、また自治体も技術者育成の支援をしている。

   木材を被災者支援に利用している例もある。木造仮設住宅の建設だ。遠野市に隣接する住田町では、地震と津波で大打撃を受けた陸前高田市や大船渡市からの被災者を受け入れるため、震災から2週間後には地元の木材を使った仮設住宅を完成させた。遠野市では、被災した沿岸部で伐採した木材を県の内陸部で製材、加工した後、今度は沿岸部での「復興住宅」のための建材として使う構想もあるという。

   1月10日には、「国内委員会」メンバーや林野庁関係者、本田敏秋遠野市長らを交えて、2012年以降の活動内容に関する「意見交換会」も開かれた。委員のひとりで作家の天野礼子氏は、従来行われていた「切り捨て間伐」に言及。森林で木を伐採さえすれば、木材として運び出さず森に放置したままでも林業従事者には補助金が出されていたという。しかし林野庁は2011年4月から「切り捨て間伐」への補助金を廃止し、木材としての活用を前提とした「利用間伐」を促進する方針に転換したことを天野氏は評価した。

   同じく委員を務める作家・環境保護活動家のC.W.ニコル氏は、出身地のウェールズやカナダの森林で害虫が運んできた病気がまん延し、「バサバサ切られた」状況を目の当たりにした経験を披露。そのうえで、森林資源の活用だけでなく森の生態系を守る姿勢を持ってほしいと訴え、そうすることで大事な森林資源は増えていくと説明した。

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