国内林業再生への動き 被災者の仮設住宅も国産の木材で

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   国内で使用される木材は長年、海外からの輸入に頼ってきた。しかし近年、国内の森林を整備して国産材を活用する動きも出始めた。

   世界では減少の一途をたどる森林資源だが、日本では逆に増加している。国内にある木材資源を有効利用すれば、環境保全につながる利点もありそうだ。

「国際森林年」国内では有識者で委員会設置

国際森林年国内委員らが参加した意見交換会
国際森林年国内委員らが参加した意見交換会

   世界の森林は、1990~2010年の間に日本の国土の4倍もの面積が減少した。特に南米やアフリカで大きく減っている。ところが国内では、過去40年以上にわたって増え続けているのだ。林野庁の資料によると、1966年は国内の森林資源が18億8700万立法メートルだったが、2007年には44億3200万立方メートルと約2.3倍となった。

   国が推進した植林の効果もあるが、一方では1960年代以降、木材の供給源が国内の森林から海外に移行したことも影響している。1955年の木材自給率は90%を超えていたが、安価な輸入木材に押されて国産材は採算性が厳しいことから、自給率はここ20年ほど20%台に低迷したままだ。

   森林は残されたが、適切な整備が施されないままというケースが少なくない。木々が増えすぎた場合、成長した立木を一部伐採する「間伐」をしないと森林が健全に育たず、森が本来もつ機能が失われてしまう。

   森林資源は年々増えている半面、有効に活用されていない――。そこで農林水産省では2009年に「森林・林業再生プラン」を策定し、木材の自給率を10年後には50%以上にまで高める目標を掲げた。一方、国連が定めた「国際森林年」の2011年に合わせて有識者メンバーによる国内委員会を設置、「森のチカラで、日本を元気に。」をメッセージに掲げ、林業の再生を目指して森林の保護や資源活用のためのさまざまな取り組みを続けている。

   2012年1月10、11日には第5回国内委員会が、東日本大震災の被災地でもある岩手県で開催された。岩手が選ばれたのは、被災者支援や被災地復興に森林資源を役立てる事例を周知することで、活動をさらに積極化していくねらいがあるようだ。委員会には、坂本龍一氏、C.W.ニコル氏、作家の天野礼子氏らが参加し、今後の林業再生についての課題や方向性などを議論した。また、遠野市の馬搬や住田町の仮設住宅などの視察も行った。

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