「漫画読めない子どもが増加」 ツイッターきっかけで議論盛り上がる

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   漫画を読めない子どもが増えている――。ツイッター上のこんなつぶやきがきっかけで、プロの漫画家を巻き込んだ議論になっている。

「そういえば、塾講師から、漫画を『読めない』子どもが増えてるって話を聞いた。コマをきちんと追って、間を想像して話を読み進めることができないそうだ」

「文字や絵の流れをつなげて話を理解できない」

プロの漫画家も参戦
プロの漫画家も参戦

   あるツイッターユーザーが2012年1月11日、こうつぶやいた。ツイートによると、今の子どもたちは本を読めないだけでなく、漫画すら読めない可能性がある。漫画を読んでも、文字や絵の流れをつなげて話を理解できないというのだ。

   このツイートは、たちまち反響を呼んだ。もちろん、「実例をみたことがないのとまともなソースの記事を読んだことがないので若干懐疑的」との向きも多い。しかし、「勉強についての漫画(まんが日本の歴史とか)を読む事すらできない子がいる」「ワンピースでさえ、『台詞が多くて読めない』という子がいるそうです…」といった賛同の声も相次いでいる。

   子ども向けの学習漫画を描いているという「うおりゃー!大橋」さんも議論に参加し、10年くらい前から「漫画を読めない子供」の増加が言われていたと明かした。

   その原因については、マニアックで読み慣れないと分からないアニメ風の漫画ばかりになり、字が分からない子どもでも読める入門的な漫画が減ったことを挙げている。入門的なものとは、「ドラえもん」などで知られる故・藤子・F・不二雄が描いたような漫画だという。

   全国出版協会の出版科学研究所によると、週刊少年ジャンプなどのコミック誌は10年の販売額がピークの1995年よりほぼ半減している。コミックスはアニメ化などの影響で持ちこたえていたが、10年はピークの2005年より10%以上も減っている。

   少年誌などの部数激減と「漫画を読めない子供」の増加は、何か関係があるのだろうか。

少年誌が大人向けになったことも原因の1つ

   間を想像できずに漫画を読めない子どもたちの増加が部数減に結びついているかについて、出版科学研究所研究員の若林秀樹さんは、「そういったことを示す資料は見当たりませんね」と言う。

   しかし、新聞社の世論調査や出版社へのアンケートなどから、少年誌が大人向けになってしまったことが子どもたちの漫画離れにつながった原因の1つと考えられるとした。

「年齢とともにジャンプからヤングジャンプに移るといったサイクルが、機能していないとみられます。つまり、読者が留まって、高齢化しているということです」

   もっとも、少年誌の部数減について、一番の原因は、ケータイやスマートフォンなどで手軽に情報を得たりゲームを楽しんだりできるようになって、子どもたちが雑誌を読む習慣がなくなったことがあると指摘している。

   若林さんは、これ以上の漫画離れを防ぐには、読者の新陳代謝を図ることが大切だと言う。

   出版界でも、そうした動きは確かにある。集英社は、幼年読者向けの月刊コミック誌「最強ジャンプ」を2011年12月3日に創刊した。小学館の「コロコロコミック」に対抗したものと報じられ、若林さんは、「創刊が目について手に取るようになり、本家のジャンプにも移ってもらえるかもしれない」とみる。

   ただ、コロコロコミックも部数が伸び悩んでおり、幼年読者が増えるかは未知数の部分がある。また、そもそも「漫画を読めない子供」が増えているとすれば、その問題をどうクリアするかも今後の課題になる可能性はありそうだ。

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