少年誌が大人向けになったことも原因の1つ
間を想像できずに漫画を読めない子どもたちの増加が部数減に結びついているかについて、出版科学研究所研究員の若林秀樹さんは、「そういったことを示す資料は見当たりませんね」と言う。
しかし、新聞社の世論調査や出版社へのアンケートなどから、少年誌が大人向けになってしまったことが子どもたちの漫画離れにつながった原因の1つと考えられるとした。
「年齢とともにジャンプからヤングジャンプに移るといったサイクルが、機能していないとみられます。つまり、読者が留まって、高齢化しているということです」
もっとも、少年誌の部数減について、一番の原因は、ケータイやスマートフォンなどで手軽に情報を得たりゲームを楽しんだりできるようになって、子どもたちが雑誌を読む習慣がなくなったことがあると指摘している。
若林さんは、これ以上の漫画離れを防ぐには、読者の新陳代謝を図ることが大切だと言う。
出版界でも、そうした動きは確かにある。集英社は、幼年読者向けの月刊コミック誌「最強ジャンプ」を2011年12月3日に創刊した。小学館の「コロコロコミック」に対抗したものと報じられ、若林さんは、「創刊が目について手に取るようになり、本家のジャンプにも移ってもらえるかもしれない」とみる。
ただ、コロコロコミックも部数が伸び悩んでおり、幼年読者が増えるかは未知数の部分がある。また、そもそも「漫画を読めない子供」が増えているとすれば、その問題をどうクリアするかも今後の課題になる可能性はありそうだ。