AKB48総合プロデューサーの秋元康さん(55)に、米CNNの記者が「若い女の子たちの性的な搾取に関与しているのか」とただしたことが話題になっている。秋元さんはすぐに否定したが、ネット上では、記者の質問に賛否両論のようだ。
CNN記者が質問した番組「トーク・アジア」は、日本のCS放送「CNNj」でも2012年1月13日夜に放送された。
秋元康は関与否定「アートですから」
女性記者のアンナ・コレンさんは、秋元康さんとのインタビューでまず、インドネシアにできたAKB48の派生グループ「JKT48」について、「なぜイスラム圏なのですか?」と突っ込んだ。肌の露出はご法度ともされるだけに、疑問を持ったらしい。
これに対し、秋元さんは、イスラム圏での理由は明確に答えず、家の近くでもアイドルに応募できる身近なAKB48でなければいけないからとだけ説明した。
さらにコレンさんは、歌詞のいくつかは性的表現が過ぎると批判があるとし、メンバーにまだ13、14歳の女の子もいると指摘した。秋元さんは、「批判はないですね」と反論し、ストレートな性的表現はなく、歌詞でロマンティックな風に変換していると話した。不埒な遊びをしたいなどの表現がある曲「制服が邪魔をする」については、リアルな言葉をつづった日記を読んでいるわけではなく、メンバーたちがお芝居のようにただ演じているだけだと理解を求めた。
しかし、コレンさんの追及は止まず、秋元さんにこう疑問を投げたのだ。
「日本社会には現在、若い女の子たちの性的な搾取が多いとの声もあります。あなたが手がけたミュージックビデオにも、制服やビキニ、セクシーな下着に身を包んだ女の子たちが、お互いの顔をなめたり、キスしたり、お風呂に入ったりといった表現があります。ご自身も、この問題に関与していると思いますか?」
この追及には、秋元さんは即座に、「思わないですね」と関与を否定し、「それはアートですから」と強調した。
ネット上では、記者の質問に賛否両論
秋元康さんによると、アンナ・コレンさんが指摘したのは、2010年8月18日発売の曲「ヘビーローテーション」のことだという。この曲のミュージックビデオでは確かに、メンバー同士がキスしたり、風呂に入ったりするシーンが出てくる。
こうしたシーンについて、秋元さんは、「芸術かアートかわいせつか、ということと同じ」だとして、「それをどう感じるかは個々の判断だと思いますね」と一蹴した。
ネット上では放送後、番組でのやり取りについて、様々な反応が出た。2ちゃんねるのまとめブログでも紹介され、それらの書き込みでは、コレンさんの指摘には賛否が分かれている。
賛成としては、「AKBはエロ路線の規制が強まると壊滅するな」「イスラム圏で同じノリでやったらマジで国際問題になるよ」「日本のメディアでもこれくらい聞くところはないの?w」といった反応だ。一方で、首をひねる向きもあり、「アメリカでもセクシー表現は多い訳だがなあ」「幼く見えるアジア人の女性グループは児童ポルノ扱い」「そんなに悪いことか?という疑問もある」といった声が相次いだ。
もっとも、CNNの番組は、AKBに否定的な質問だけをぶつけていたわけではない。「ジャパニーズ・ポップスの成功を象徴する音色」として、ニューヨークやモスクワ、パリでも認知度が高まっているとして、「AKB48!」と声を上げる白人女性ファンらの姿を紹介した。コレンさんは、ステージ本番前のメンバーらを取材しており、「みんな自分のやってることが大好きなのね」と声をかけていた。シンガポールにAKBカフェができたことを「アジアでは、完全に受け入れられていますね」と持ち上げ、秋元さんがそれを「どうですかね」とさえぎるほどだった。
なお、CS放送を運営する日本ケーブルテレビによると、「トーク・アジア」は、アジアを中心にヨーロッパ、アフリカなどでも放送されるCNNインターナショナルの番組であり、アメリカ国内では放送されていない。