発足したばかりの野田改造内閣に、国民は厳しい評価を下した。主要各紙が2012年1月15日に発表した世論調査の結果では、野田政権が推し進める消費税の増税に「ノー」を突きつけた人が6割近くに上っている。
内閣改造の「目玉」となった岡田克也副総理の起用には期待する声が高い半面、内閣支持率は一部で3割を切り、スタート早々「黄信号」がともった。
国会議員の定数削減「できない」8割に
政府は1月6日、消費税率について2014年4月に8%、2015年に10%に引き上げる税と社会保障の一体改革の素案をまとめた。しかし世論調査では、消費増税への風当たりは強い。
朝日新聞の世論調査結果によると、消費増税の政府案に賛成は34%、反対派57%となり、反対が6割に迫る。民主支持層でも反対が46%に及んだ。野田佳彦首相は、増税の前提として国会議員の定数削減や公務員の人件費削減の実施を挙げているが、反対派のなかで「削減はできない」と答えた割合が78%と高い。野田政権がこの「前提条件」をクリアできるかが、消費税率アップへの反発を和らげるカギのひとつになるだろうと、朝日新聞は結論付けている。
読売新聞や日本経済新聞の世論調査でも、同様の結果となった。消費増税反対は、読売で55%、日経56%といずれも過半数を超えている。読売ではその理由として「無駄な予算の削減が不十分だ」が最も多いと指摘、日経では、増税方針を打ち出す野田首相の判断について「評価しない」との回答が46%と、「評価する」の42%を上回ったことを合わせて紹介した。
野田首相は1月14日放送のテレビ東京の番組で、税と社会保障の一体改革について、老後だけでなく就労や子育てといった「人生前半」の社会保障を厚くしないと、持続可能な社会はつくれないと強調。「(消費)増税ばかりに焦点が当たっているが、オールジャパンで公平に税金を負担してもらい、その分を社会保障に充てていく必要がある」と説明して、国民に理解を求めた。
しかし世論調査では、野田改造内閣への不満が浮き彫りとなった。朝日では内閣支持率が29%と3割を切った。読売、日経ではいずれも37%で、3紙とも「支持しない」が「支持する」を上回り、危険レベルに接近しつつある。