五味編集委員「(正男氏は)礼儀正しく、面白い」
こうしたメールのやりとりの経緯や2011年の単独インタビューの詳細などを本にまとめ、五味氏は「父・金正日と私 金正男独占告白」(文藝春秋社)を12年1月20日に出す。しかし、本の出版の時期を巡って、実は正男氏と折り合いがつかず、ここ最近では「メールの返事がこない」状況になっている。怒ってしまったのだろうか。
正男氏自身の考えをいずれ公にすることについては、むしろ正男氏が望んでいることだと五味氏は説明する。しかし、正男氏は「今は微妙な時期だ」として、出版はまだ待ってほしいと伝えてきた。
それでも五味氏は、北朝鮮関係者として正男氏のような「評価されるべき」人物がいるのだ、ということを今こそ広く知ってもらうべきだと考え、出版に踏み切った。正男氏は、冷静に「3代世襲」の影響を分析するなど「一般的な『遊び人』といったイメージとは異なり、責任感が強く、礼儀正しく、面白い」人物なのだという。
著書で公開するメールでは、正男氏が訪日した際の様子や父、正日総書記の印象なども描写されている。
正男氏は2010年10月に北京でテレビ朝日のインタビューに応じるなどしていたが、11年1月の東京新聞インタビュー以降は、対外的な発言を控えていた。11年12月の総書記死去で北朝鮮が大きな転機を迎える中、正男氏が04年から12年初頭にかけ、どんな「肉声」を発していたかには注目が集まりそうだ。