内閣改造を終えた野田佳彦首相は2012年1月13日夕方記者会見を開き、改めて消費税の増税に理解を求めた。
だが、新たに入閣した岡田克也副総理が社会保障と税の一体改革を担当することについて、「『党分裂の危機に突き進む』との声があがっている」との質問が飛ぶと、「了見の狭い政治は、やめたほうがいい」などと色をなして反論する一幕もあった。
「つらいかもしれないが、訴える方もつらい」
野田首相は冒頭発言の中で、社会保障と税の一体改革について、
「今までの政治の継続、惰性でできるものではない」
「それ(社会保障)を支える安定財源が必要。安定財源ということは国民に負担をお願いすること。耳当たりのいい、耳触りのことをいって国民の歓心を買うのではない。つらいかもしれないが、訴える方もつらい。選挙も厳しくなるかもしれないと誰もが思う。負担をする側もつらい。だけれども、つらいテーマも訴えてご理解いただける政治を日本で作れるかどうかが、私は正念場だと思う。欧州の債務危機は対岸の火事ではない」
と、改めて理解を求めた。
小沢氏と距離を置いているとされる岡田氏が社会保障と税の一体改革担当相に就任したことについては、増税を「マニフェスト違反」などと批判している小沢一郎氏に近いグループが反発を強めているとの見方もある。このことから、
「党内から『党分裂の危機に突き進む』との声があがっている」
との質問が出ると、野田首相は
「今ご指摘いただいたような声って、本当に多いんですか?多いですか?」
と、憮然とした表情。
「そんな空気が充満しているとは思わないです」
記者は
「あるとは思う」
とトーンダウンしたが、野田首相は、
「あー、ここまで私、そんな空気が充満しているとは思わないですが、少なくとも、『反なんとか』だとか『親なんとか』だとかいうのはもうやめようというのは、代表戦の時に申し上げたつもり。『誰かが何かについたら退く』といった了見の狭い政治は、やめたほうがいい。もし政策で違うのであれば、政策でものを言えばいい。『誰かさんのグループがこうだから』という議論は、あり得ないと思う」
「岡田さんが行政改革と税と社会保障の一体改革をパッケージとして責任を持っていく立場になったことで、むしろそれを期待する人の方が多いのでは」
と、一気に反論した。なお、いわゆる「話し合い解散」については、
「解散は念頭に置いておりません」
と否定した。