大阪市バス運転手「駆け込み早期退職」 民間並み給与大幅カットで1割が応募

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   大阪市の橋下徹市長が、市バス運転手の年収を民間並みに削減する方針を打ち出したことを受け、希望退職者が急増していることが明らかになった。これは、現時点では早期退職者には退職金が加算される制度があるが、橋下市政では近く廃止される可能性が指摘されているためだ。今回の希望退職で運転手の約1割が退職してしまうため、残った運転手に休日出勤を求めるなどの対応に追われている。

市バス運転手の給料は民間より3割以上多い

   橋下氏が矛先を向けているのが、バスの運転手の年収の「官民格差」。大阪市交通局のバス運転手の平均年収は739万円なのに対して、関西の民間バス会社5社の平均は544万円。民間よりも3割以上多い。地下鉄運転士の平均年収は734万円で、関西の私鉄5社の平均664万円よりも1割多い。

   橋下氏は市の総人件費を2割カットする方針を打ち出しており、交通局にもメスが入った。2011年12月23日に市幹部を集めて行った戦略会議で、橋下氏は

「来年(12年)4月に民間水準に合わせる。先延ばしの理由は何もない」

と指示。段階的に給料を引き下げる経過措置についても「長い期間は考えていない」と消極的で、急に給料が激減する可能性が高い。

   大阪市では、早期退職を促すことを目的に、07年から退職金を加算する制度を導入。勤続25年以上か50歳以上の職員で、9月末か3月末に退職する職員が対象だ。これに加えて、交通局では11、12年度に限って早期退職の対象年齢を45歳以上に拡大。退職金の加算率も通常の20%から30%(45~55歳で退職した場合)に引き上げた。これは、バス事業の民間委託を進めているため、交通局は他部署と比べても人員削減を急ぐ必要があるからだ。だが、橋下市政のもとでは、今後もこの制度が存続するかどうかは不透明だ。

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