国内市場低迷に苦しむ保険会社の買収意欲が高い
ビール各社はこれまで「相対的にリスクが低く、安定的な成長を見込める」(アサヒの泉谷 直木社長)としてオーストラリアやニュージーランドといったオセアニア地域に積極的だったが、「買い尽くした感」(外資系証券)もあり、 新たな局面を迎えている。こうした中でのキリンのブラジル展開は新たな一手で成否が注目されている。
薬品は規模が大きいのが特徴だ。1兆1000億円と昨年最大だったのも、武田薬品工業によるスイスの製薬大手ナイコメッド買収だ。買収される企業の業種別では2011年、「ヘルスケア」が1兆7000億円でトップだったが、武田のナイコメッド買収の貢献が大きかった。
国内市場低迷に苦しむ保険会社の買収意欲が高いのも最近の特徴。11年末には東京海上ホールディングスが、米中堅保険デルファイ・ファイナンシャル・グループを約2000億円かけて完全子会社化すると発表。また、三井住友海上火災保険がインドネシアのシナール マス生命に約700億円、日本生命保険がインドの生保リライアンス・ライフに約480億円、それぞれ出資。明治安田生命保険はドイツ保険大手と組んでポーランド保険大手「オイ ロパ」を約330億円で買収するなど、各社が海外市場開拓を急いでいる。
一方、円高メリットを生かして大手商社も資源権益確保を目的にM&Aに積極的だ。11年は伊藤忠商事が米投資ファンドなどと共同で米石油ガス開発会社を約5400億円で買収した。商社各社は業績好調で手元資金も豊富なため、2012年も大型案件が出ると見ら れている。