ストリンガー会長「次世代テレビの有力候補」
ソニーは「CES 2012」で、LED(発光ダイオード)600万個を配置した自発光型ディスプレーの試作機を発表した。テレビ戦略でサムスンやLGとの違いを出したように見えるが、ソニー広報によるとハワード・ストリンガー会長兼社長はCESで、「有機ELテレビも次世代テレビの有力な候補」と発言したことを明かした。広報担当者は開発の詳細には触れなかったが、「XEL-1」の後継となる「ソニーブランド」モデルの投入も今後あり得ると話す。メーカー各社が徐々に有機ELテレビへ参入している現状に、「まだ『立ち上げ時期』であり、業界全体で盛り上がっていけば部材のコストダウンなど、開発に有利な面も出てくる」と指摘した。
だが近年、テレビ事業が芳しくないソニーとしては悠長に構えていられないかもしれない。2011年3月期まで7期連続の赤字で、2011年11月2日には生産の縮小を発表。液晶パネル製造におけるサムスン電子との合弁も解消し、不振からの脱却を目指すソニーとしては何か「起爆剤」が欲しいところだ。
米調査会社ディスプレイサーチは2012年1月6日、有機ELディスプレーの市場規模が、2011年の約40億ドル(約3080億円)から2018年には約200億ドル(約1兆5400億円)にまで成長するとの試算を発表。しかも現在の市場は中・小型のディスプレーが中心だが、今後2年のうちにテレビに使われるような大型ディスプレーが主流になっていくと分析した。テレビ事業自体が「ジリ貧」の恐れがあるソニーにとって、有機ELテレビの市場参入が遅れれば、先行組の韓国勢に独占されて取り返しがつかなくなる懸念もある。