難民を助ける会では、仮設住宅に引きこもりがちな方々が外に出て交流するきっかけ作りにと、マッサージサービスや炊き出しなどの地域交流イベントを行う「地域みんなで元気になろう」プロジェクトを実施しています。
2011年12月9日、宮城県石巻市の石巻バイパス建設用地仮設住宅に住む被災者の方々約500名を対象に同プロジェクトを行いました。今回は、マッサージサービスや健康体操に加え、東北名物の芋煮(牛肉や里芋などの野菜を入れて煮込んだ汁物)と味噌田楽の炊き出し、衣料品などの無料提供を行いました。当日は、イオン1%クラブのスタッフと、イオン・スカラシップ奨学生として日本の大学や大学院で学ぶ海外からの留学生21名がボランティアとして参加してくださいました。
厳しい寒さの中、冬物衣類が大好評
12月9日(土)午前9時、イオン1%クラブの皆さまと難民を助ける会スタッフは、石巻市の会場へ到着。炊き出しの下ごしらえ、会場の設営など、7つのグループに分かれて準備しました。
午前10時30分、まずは衣類の無料提供を開始しました。当日は雪もちらつくほどの寒さで、ダウンジャケットや長袖衣類など、冬物を中心に揃えた品々はすべて飛ぶようになくなる盛況ぶりでした。また、日本全国の皆さまから届いたサニーちゃんの手作りトートバッグも大好評で、住民の皆さまは「まぁ可愛い」「素敵な柄ですね」などと歓声をあげながら、一つひとつ手にとって選んでいました。
宮城名物の芋煮と味噌田楽の炊き出しに行列
炊き出しでは留学生の皆さんが大活躍。マスクと手袋にエプロン姿で、調理監督者の指導のもと大量の具材を次々と下ごしらえし、最後は美味しい芋煮と味噌田楽が出来上がりました。炊き出しに参加した、ベトナム出身で千葉大学工学部で学ぶティン・バ・トゥクさん(男性)は、「被災者の方々は津波で大変な思いをされたと思います。でも皆さんが私たちの作った料理を『嬉しい』『美味しい』と食べてくれて嬉しかったです」と話してくれました。炊き出しには親子連れやご夫婦などたくさんの住民の方々が来られ、「お隣さんに最近会ってないから、芋煮をひとつ持っていってあげよう」という声もたくさん聞かれました。
マッサージで身体を、談話しながら心をほぐして
仮設住宅の敷地内にある集会所では、作業療法士と理学療法士によるマッサージのサービスが行われ、その順番を待つ間に住民の皆さま同士が雑談をしたり近況を伝え合ったり、カウンセラーに悩みを話す姿も見られました。マッサージは盛況で、子連れのお母さんやご高齢の方などが次々と訪れていました。
一方で、体調が悪かったり、ご高齢のためイベント会場にまで歩いて来られない方もいました。そうした方々へはこちらから訪問して炊き出しの料理をお届けしました。
この仮設住宅は土地の形状から236世帯が横並びに1キロも続くため、ご近所同士のコミュニケーションも取りにくい構造です。そんな中、今回のプロジェクトが少しでも住民の方々の交流のきっかけになれば幸いです。
今後も世界の懸け橋となる活動を
イベント終了後は、イオンの皆さまとバスで女川の被災地を訪問しました。地震により横倒しになった建物など、津波の爪跡が生々しく残る光景を背に、一人ひとりが献花と献香を行い、津波の犠牲になった方々のご冥福を祈りました。
今回、海外からの留学生たちが手伝う姿に、被災地の方々は「遠いところから来てくれてありがとう」と喜んでくれ、また留学生の方々も、被災地を訪れ学ぶことが多かったと話してくれました。難民を助ける会では、今後も日本と世界の善意を結ぶ架け橋となるよう、活動を続けてまいります。
(難民を助ける会 東京事務局 伊藤美洋)
認定NPO法人 難民を助ける会
1979年、インドシナ難民を支援するために、政治・思想・宗教に偏らない市民団体として日本で設立された国際NGOです。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、地震発生当日より活動を開始。宮城県仙台市と岩手県盛岡市に事務所を構え、緊急・復興支援を行っています。
活動にあたっては、特に支援から取り残されがちな障害者や高齢者、在宅避難者、離島の住民などを重点的に支援しています。食料や家電などの物資の配布、炊き出し、医師と看護師による巡回診療など、多面的な活動を続けています。
■ホームページ http://www.aarjapan.gr.jp
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