プロ野球は自主トレの季節である。今シーズンの特徴の一つに、東都大学出身の監督が増えたことが挙げられる。それもセ・リーグで、実に4球団だ。これまで東京六大学出身が幅を利かせてきただけに、さしずめ「東都ブーム」といったところだ。
注目される中畑DeNA監督も駒沢大学出身
2012年、セの東都OB監督は次の通りである。
▽ヤクルト・小川淳司=中央大
▽広島・野村謙二郎=駒沢大
▽阪神・和田豊=日本大
▽横浜DeNA・中畑清=駒沢大
昨シーズン限りで中日の監督を勇退した落合博満は東洋大中退だから、もし今シーズンも続投すれば6球団のうち5球団が東都大学出身となるところだった。このような現象は初めてのことである。ちなみに、小川以外はいずれも現役時代は内野手だった。
注目はなんといっても中畑。巨人時代、元気なプレーで「絶好調男」の異名をとったことは有名だ。現役最後の打席で本塁打を放つなど、とにかく目立つ。「今年のキャンプの主役は中畑だろう」とスポーツマスコミ。明るいキャラクターは曇りがちの世相を変えてくれる、と期待されている。
親会社のDeNAはIT企業で、ゲームが主力。本業のPRを考えると、中畑起用は大ヒットである。本人もそれを意識した言動をするだろう。そのくらいの芸当はやってのける度量がある。巨人OBで、ミスタープロ野球の長嶋茂雄氏と直接話ができるのも、ことあるごとに報道されるし、原辰徳巨人監督を「タツ」と呼ぶこともできる。マスコミの露出度は抜群に高いだろう。
あとの3人の共通項は「地味」。その中にあって小川監督の足跡は素晴らしい。習志野高時代はエースとして夏の甲子園で優勝。中央大でも主力だった。プロでは指導者として力を示している。2年前、高田繁監督休養の後を受けて好成績を残し、采配力で正式監督の座をつかんだ。
野村は広島の主力として活躍。通算2020安打を放った「名球会」メンバーだ。ほとんど知られていないが、実は1990年代の最多安打記録の持ち主である。
巨人と対抗する阪神を率いる和田は「いぶし銀のプレーヤー」として存在感があった。金メダルを取ったロサンゼルス五輪(公開競技)のメンバーでもあった。