「日本人を対象とした科学的データが不足している」
過剰摂取は当然、注意すべきではあるが、「むしろ、今気にするべきは飽和脂肪酸の方だ」との専門家の声が高まっている。メーカーなどがトランス 脂肪酸を含まない「パーム油」への切り替えを進めた結果、パーム油に多く含まれる飽和脂肪酸の含有量が増える傾向にあるというのだ。飽和脂肪酸を多く摂取すれば動脈硬化の原因になるとされる。
消費者庁が、トランス脂肪酸の表示義務化を先送りしたのは、「日本人を対象とした科学的データが不足している」との理由からで、今後も検討が続けられる。ただ、トランス脂肪酸だけに焦点を当てた基準作りは、かえって問題を生み出す結果につながりかねず、食品全体を見据えた慎重な検討が必 要といえそうだ。