どうなるトランス脂肪酸規制 今後は飽和脂肪酸の方が危ない

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   心疾患などのリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」について、消費者庁は2011年夏まとめた栄養成分表示を義務づける指針に盛り込まず、表示義務化を事実上先送りした。トランス脂肪酸の過剰摂取は一時、健康を損ねるとして社会的に問題化し、メーカーや外食産業が対応に追われたが、現状はどうなっているのだろうか。

   トランス脂肪酸は、常温では液体である植物油に水素を加え、固体化する過程で生成される。マーガリンやショートニングなどの製造段階で生まれることがよく知られているが、牛乳やバターなど天然の乳製品にも含まれる。洋菓子などの製造時に使うとサクサクした食感が出るといい、パイやケーキ、菓子パンなどに使われることが多い。

WHOが摂取量押さえるよう勧告

   しかし、体内に多く摂取すると、悪玉コレステロールを増やして、善玉コレステロールを減少させ、心筋こうそくなどの心疾患が増えることが判明。 世界保健機関(WHO)は2003年、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満に押さえるよう勧告した。

   そんなトランス脂肪酸に対し、米国やカナダ、韓国などでは食品内の含有量の表示を義務化している。日本でも義務化を求める声があるが、「他国と日本とはそもそも事情が違う」との指摘は強い。

   食品安全委員会が日本人約3万人を対象に実施した調査(2003~07年)によると、1日のトランス脂肪酸の平均摂取量は約0.67グラムで、 エネルギー比では平均0.31%だった。これに対し、米国では1.9~2.6%、英国では1.2~2.2%と、日本に比べてかなり大きい。

   一方、日本ではメーカーや外食産業が工夫し、実際には加工食品のトランス脂肪酸の含有量はここ数年で大きく減っている。食品安全委が2010年度に 実施したマーガリンなどの調査では、2006年度比でトランス脂肪酸は19~95%減少した。業務用ショートニングでは約9割も減ったという。

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