地下鉄の路線検索やカーナビ代わりにも
外出先に向かう場合は、路線検索アプリが役立つ。起動させるとソウルの地下鉄・鉄道マップが現れる。出発地と行き先は、路線図にある駅名に触れて選択する。路線が示されるだけでなく、どの号車に乗れば最も効率的に乗り換えができるかも分かるのだ。車中でもネットにつながるうえ、地図アプリのような容量が大きいものでも比較的すぐに表示されるため、移動中でもすぐ検索ができる。
ナビゲーションとしても重宝されている。IT関連企業に勤める30代の女性は、いまやスマホがカーナビゲーションの代わりだと話す。自宅のあるソウル郊外から中心部へ車で向かう場合、常に渋滞を気にしなければならない。ナビアプリを使えば、交通情報がリアルタイムで入ってくるため所要時間の見通しがつけやすい。渋滞回避にも役立てられる。
この女性も、カカオトークの「ヘビーユーザー」だ。常にスマホを手元に置き、素早く返事をする。「もはや習慣になっているので、苦ではありません」と笑う。ツイッターやフェイスブックは日本同様、韓国でも人気だ。前出の李さんも「スマホを持っていない人とは連絡も取れません」というほど、必須アイテム化しているのは間違いない。だが、決してスマホやネット上の交流に依存しているわけではない。むしろ気の合う人同士は以前より付き合いが深まり、空き時間があれば会って食事に出かけるケースも増えたようだ。
韓国のITジャーナリストはスマホの浸透が社会にもたらした影響について、「コミュニケーションスタイルの変化」を挙げる。SNSなどで互いに意見を出し合う機会が増えたことで「選挙でもカギとなる役割を果たすようになり、政党はSNSの活用法を戦略に取り入れている」という。一方で、誤った情報が拡散しやすくなったというマイナス面も浮き彫りになってきた。
スマホ利用者の急増は、アプリの拡充がタイミングよく進んだからこそだと、このジャーナリストは考える。従来型携帯電話でもインターネット接続は可能だったが、通信料が高額なうえコンテンツは貧弱で「閲覧したいと思う人は少数でした」。そこに、パソコン同様「リッチコンテンツ」を楽しめるスマホが登場し、アプリも質量ともに充実するようになった――。モバイル端末の使い道は、かつての音声通話やテキストメッセージから、ネット接続によるさまざまなサービスの利用へと大きく姿を変えたのだ。