夏場は農業用水の排水路として機能する、近所の「三夜川」がクリスマス寒波で凍結した。三面舗装の底が見えるまで水量が減り、ほとんど流れていないのと同じ状態になった。そこからの連想――。
私が住む地域はいわきの平地、海抜でいえばせいぜい5メートルほどのところだろう。そんな地域でもたまり水が凍るのだから、山間部ではもっと深く、広く凍結しているに違いない。ハマ・マチ・ヤマ――いわきをそう区分する癖があるので、冬の凍結状況はその三層区分によって、ヤマに行けばいくほど厳しいことが容易にわかる。
海抜200メートルほどの夏井川渓谷も、夜は外気が氷点を下回る。10日ほど前、無量庵の濡れ縁にある雨だれ受けの浅鉢が凍結していた(=写真)。生ごみを埋めようと畑にスコップを入れたら、10センチ近く土が凍っていた。毎年そうだが、今年は凍り方がちょっと早い。
1週間前の新聞(朝日・福島浜通り版)に「庭土凍り木立も/線量低減難しく/先行着手川前地区」という記事が載った。いわきのなかでも放射線量が高い川前町下桶売の荻・志田名地区で市が「モデル事業」として除染作業をしている。ここは海抜500~600メートルといったところか。冬は大地が凍る。
記事にこうあった。「21日、地元業者の作業員に市職員計15人が、山間部にある民家の庭土をはがしていた。深さ20センチほどまで凍り付いているため、パワーショベルもなかなか歯が立たない」
夏井川渓谷の先、一段も二段も山に分け入った先の阿武隈高地だ。溪谷は常緑のヤブツバキが自生するような照葉樹林地帯のはじっこ、荻や志田名はもうブナ林地帯。植生からいってもいわきの平地とは異なる。
記事は除染作業の担当者の声として「凍土がやっかいで、本格的な作業は春を待たなくてはならないだろう」ということを伝えている。
冬の寒波が除染にも、原発の収束作業にも影響を与える――という想像力を持たないといけない。
(タカじい)
タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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