日本は原油の1割をイランに頼る
深刻なのが日本だ。東日本大震災から復興途上の日本経済にも打撃を及ぼす可能性がある。イランは日本の原油輸入先の第4位で、輸入全体の約1割を占める。
経済産業省幹部は、イラン原油輸入がストップしても、サウジアラビアなどから代替調達などで「急激な供給不足が起こるとは考えにくい」と強気を装うが、東京電力福島第1原発事故を受け、国内の電力会社は電源を原発から火力発電に切り替えている。火力の主力は液化天然ガス(LNG)に移っているとはいえ、原油価格上昇がLNGに波及すれば、日本経済への打撃は大きい。
全国銀行協会の永易克典会長は「(イランからの輸入が)完全に止まると、日本経済に悪影響が及ぶ」と懸念を示している。
そこで日本が期待するのが例外条項の適用だ。新制裁法は大統領に対して、法発効から180日以内に原油輸入を含むイランとの決済を「顕著に減らした」金融機関を制裁対象から除外できる特例を認めている。大統領が除外できるのは「国家安全保障上で利益にかなう場合」とされているが、具体的な運用基準は未定だ。
12月19日に行われた日米外相会談で玄葉光一郎外相は、制裁が発動された場合、原油価格が高騰し「日本や世界経済に大きな影響がある」と懸念を表明。クリントン国務長官は「日本の懸念は承知している。日米間で緊密に協議していきたい」と応じた。
「米政府は日本、韓国などイランと原油取引のある同盟国の意向も踏まえ、制裁の運用の詳細を詰める方針」(大手紙米国特派員)というが、日本にどこまで配慮するか。