米国との関係重視か、イランの原油か 日本「難しい対応」迫られる

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   核開発を進めるイランに対して米国が経済制裁強化に動いている。イランと取引を続ける金融機関に制裁を課すというものだ。

   イランは日本にとって原油の主要な輸入先。制裁は間接的に日本の金融機関にも及ぶと見られるだけに、対応に苦慮しそうだ。

資金源を止めて核放棄を迫るねらい

   米国議会は「国防権限法案」を可決し、オバマ大統領が署名し成立した。この中で問題になるのが、イラン中央銀行と取引する金融機関に制裁を科す条項。米国内法のため、外国金融機関のイラン中銀との取引を直接禁ずることはできないが、イラン中銀と相当額の取引を持つと大統領が認定した場合、海外の金融機関に対しても米銀行とのドル取引を禁止することができる。

   これまでにイランの大半の民間銀行が欧米の制裁対象に指定されており、日本などイランから原油を輸入している国は、イラン中銀が原油代金決済の実質的に唯一の窓口になっている。今回の法案で、外国金融機関は米国での事業維持かイラン中銀との取引継続かの選択を迫られることになる。

   米国の狙いはイランの原油収入という資金源を止めることで核放棄を迫ること。ただ、制裁を発動すれば、世界的な原油高騰を招くリスクがある。国際指標である米WTI原油先物相場は1バレル=100ドル程度で推移している。今のところ、石油輸出国機構(OPEC)の生産余力は日量500万バレルあり、イランの生産量350万バレルを上回っているが、各国がイラン制裁に伴って原油確保に走ることで価格上昇圧力がかかる可能性がある。

   さらに、、イランは12月24日から、日本向けタンカーの9割が通過するペルシャ湾のホルムズ海峡で最大規模の軍事演習を行い、27日にはラヒミ副大統領が「イランの原油輸出に対する制裁が科されたら、原油は一滴たりともホルムズ海峡を通過することはない」と述べ、海峡封鎖も辞さない構えを見せて欧米をけん制している。原油価格高騰は軟調な米国経済にも悪影響を及ぼす恐れがあり、2012年11月の大統領選で再選を目指して国内経済の再建に躍起のオバマ大統領としても制裁は痛し痒しの面がある。

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