なにがなんでも勝つ、とばかり巨人はまたぞろ金に糸目をつけずにFA選手をかき集めている。このやり方は長嶋茂雄監督時代に始まった。いわゆる「おねだり補強」。球団の内紛によるダメージをペナント奪回で挽回しようという、いつもながらの戦法のようである。(以下、金額は推定)
巨人の「実弾」がソフトバンクを直撃
巨人お得意の「小切手野球」である。昨年オフに他球団から獲得した大物選手と条件は次の通り。
▽村田修一三塁手(前横浜)2年総額5億円
▽D.・Jホールトン投手(前ソフトバンク)2年500万ドル=3億9000万円
▽杉内俊哉投手(前ソフトバンク)4年総額20億円
とりわけ投手の補強は満足のいくものだったようだ。ホールトンは19勝を挙げ、最多勝利のタイトルを獲得。杉内は8勝ながら防御率1.94をマーク。この2投手で25勝から30勝は見込める。
巨人は昨年、クライマックスシリーズでヤクルトに負け、そのショックでがっくりきている頃、追い討ちをかけるような事件、清武球団代表がドン渡辺恒雄会長を批判した「清武の乱」が起きた。この一件は外部から失笑、冷笑を受けた場内バトルだった。
加速する名門のイメージダウンに歯止めをかけるには、強力な補強をして優勝できる戦力を整えること、とばかり派手な選手獲得に走ったともいえる。こうすると納得するのが巨人ファンの特徴でもある。
「資金が潤沢な巨人がその気になったらどの球団もかなわない」と、これまでも言われてきた。その餌食になったのが昨年日本一のソフトバンク。ホールトン、杉内という左右の主力投手をさらわれた。
加えて和田毅投手も大リーグのオリオールズに入り、ソフトバンクは大幅な戦力ダウンとなった。おまけに杉内退団のきっかけとなる暴言を吐いた球団幹部が降格になるなど、現場もフロントもガタガタにされてしまった。「巨人の実弾攻撃に遭ったらこうなるという見本がソフトバンク」という声は的を射ているといえよう。