他のスキー場では、公費頼りなどの傾向
3人について、野沢温泉スキー場は2012年1月4日、救助費用請求の対象にすることを決めた。しかし、河野博明社長は、「お金を請求することが本意ではない」として、詳細な請求額について一切答えていないとした。
11年のシーズンは、遭難が3件あり計6人を救助しているが、6人の請求額についても、「その程度で済むと考えられると困る」として明らかにしなかった。条例に罰則規定はないが、もめることはなく、6人とも請求額を支払ったという。
ただ、もし民間ヘリまで出動することになれば、請求額は数百万円にも上る可能性があると明かした。今回は、県警ヘリが出動したため、その分の請求はないが、少なくても数十万円にはなると示唆した。
ちなみに、日経の10年2月25日付夕刊記事によると、条例施行前には、コース外を滑って遭難騒ぎを起こした2人に、実際の請求はされなかったものの、それぞれ約30万円、約60万円の額が示されていた。
コース外でも、雪崩などの危険がない場合は、立ち入り禁止にはしていないが、それでも遭難した場合、捜索救助費用が請求されるという。
野沢温泉村の観光産業課によると、費用請求について条例で定めているのは、全国でも今のところほかにはない。条例化したのは、スノーボーダーらの過失でも管理者の責任だと訴えられることに悩んでいたのがきっかけだった。国際スキー連盟の安全ガイドラインや全国スキー安全対策協議会の安全基準を元に明文化した。ただ、安全対策を進めるスキー場の責務も明記しており、「援助費を求めるための条例ではなく、ルールを守って安全で快適に滑ってもらうのが目的」だとしている。
全国のほかのスキー場でも、コース外で遭難したスノーボーダーらにスキー場などから救助費が請求されるケースが報じられている。しかし、スキー場負担や公費頼りの傾向がみられるといい、自己負担の原則は浸透しているとは言えないようだ。