スマホのトラフィック量は従来型携帯の24倍
国内では現在、スマホを契約すると必ず「定額制」のプランに加入しなければならない。携帯電話各社は、基地局を増設して電波状況の改善に努めるが、スマホの利用者数は右肩上がりで増えている。
総務省移動通信課は、スマホが生み出すトラフィック量は従来型携帯の24倍だと説明。2015年末までにスマホの契約者数が約半数に達するとの調査結果を引用しながら、移動通信によるトラフィックの爆発的増大を懸念している。端末は増え続け、「定額制」が維持されると通信量は膨れ上がる一方だ。
3G回線への集中を避けようと、NTTドコモでは次世代高速通信サービス(LTE)を2010年12月にスタート。対応するスマホやタブレット型端末も発売されたが、2011年末時点で接続可能な場所は東京や大阪、名古屋の限られた地域にとどまっている。ソフトバンクモバイル(SBM)は、2011年11月1日から東京メトロ全線の駅構内で無線LANサービスの提供を開始した。「電波不足」の打開に各社とも知恵を絞るが、今後LTEやその先の「4G」への移行がスムーズに進まなければ、抜本的な改善にはならないだろう。
SBMの孫正義社長は、2011年7月28日の第1四半期決算発表の席で、定額制について興味深い発言をした。スマホの急増によりネットワークの混雑が深刻化しているが、原因はわずか数%のユーザーによる大容量データ通信で、残り9割以上の利用者にとって「迷惑行為」になっている点を指摘した。欧米では完全定額料金が「むしろ不公平だという流れがあり、我々も注視している」と明かす。そのうえで「いずれそういう(定額制ではない)料金体系をとらないと、90%以上の利用者にご迷惑をかける」と話し、従量制への移行も場合によってはやむなしとの考えをにおわせた。
今後、孫社長の指摘するような「数%のユーザーによる占有」を巧みに解消し、大多数の利用者にとっても納得できる料金プランが提供できるかが、携帯電話会社の腕の見せ所になりそうだ。