「平田の裁判が終わったら次が自首してくる」
2011年11月、地下鉄サリン事件で殺人罪などに問われていた元オウム真理教幹部、遠藤誠一被告(51)の死刑が確定し、オウム裁判は事実上、全面終結した。これにより、麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(56)など、元教団幹部13人の死刑が確定しているが、これを「阻止」しようとしたのではないか、というのが、今のところ大半の見方だ。
つまり、自分の裁判が開かれれば、事実の解明のために松本死刑囚ら主要メンバーの出廷が必要になったり、平田容疑者が新たな証言をする可能性があるため、死刑執行は裁判確定まで止められるのでは、という見方だ。
NHKニュースでも、出頭したねらいについて、ジャーナリストの江川紹子さんが、「今は麻原彰晃、本名、松本智津夫死刑囚の死刑がいつ執行されるかという段階に入っていた。しかし、平田容疑者の裁判が始まれば、証人になる可能性がある松本死刑囚の執行は非常にやりにくくなるため、死刑の執行を遅らせることが出頭の目的だった可能性がある」と指摘した、と報道されている。
だとすると、どうなるのか。これが次の憶測を呼ぶ。
「平田の裁判が終わっても、次が自首すればまた5年10年と引き延ばせる」と、今後もタイミングを見計らって容疑者が出頭してくるのではないかという見方や、「公安と何らかの裏取引があったんじゃないか」など、時間がたっても個人の推測は後を絶たない。
平田容疑者は、仮谷さんの事件について「車を運転していただけだ」と、容疑を一部否認しているという。しかし、約17年の間、どこで潜伏して生活していたのだろうか。地下鉄サリン事件などに関与したとして殺人容疑で特別手配されている、高橋克也(53)と菊地直子(40)の両容疑者の行方もまだ分かっていないことに加え、平田容疑者は未解決のまま時効を迎えた国松警察庁長官(当時)狙撃事件への関与も取りざたされている。事件の残された「闇」はまだ解明されていない。