映画「無人地帯」、飯舘村の人々の心に触れた【福島・いわき発】

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   先週の金曜日(12月16日)夜、いわき明星大講義館でドキュメンタリー映画「無人地帯」の無料上映会が開かれた。ラトブ2階にある被災者のための交流スペース「ぶらっと」のスタッフから、声がかかった。夫婦で見に行った。


   東日本大震災とそれに伴う原発事故で、4月22日、福島第一原発から半径20キロ圏内の立ち入りが禁止された。圏外の飯舘村も、のちに住民が避難して「無人地帯」となる。


   上映後の質疑応答(=写真)の中でわかったことだが、藤原敏史監督とカメラマンは警戒区域に指定される直前の双葉郡に入り、地震と津波でがれきの野と化した請戸の浜などをカメラにとらえた。カメラはさらに、飯舘村に暮らす人々の肉声を伝え、めぐってきた山里の美しい春景を写し取った。


   3・11以後、ビデオジャーナリストらが20キロ圏内に入って映像を撮った。その映像に不満が募った。きちんとした映像を取らなくては――カメラマンと三脚を持って現地に入ったのだという。三脚が、このドキュメンタリー映画の功労者といってもいいだろう。初めてじっくりと20キロ圏内を見つめ、飯舘村の人々の心に触れた思いがする。


   さて、ところで――。「ぶらっと」のスタッフに無料上映会に至るまでの過程を聞いてみた。始まりはツイッターだという。つぶやきから監督や、主催の「錦つなみ基金」の女性、「ぶらっと」スタッフがつながった。上映会のためのボランティアもまた、「ぶらっと」のスタッフだったり、「ぶらっと通信」の編集ボランティアだったりした。


   アナログの世界で生きてきた人間には、インターネットを介した新しいつながりのかたちをイメージしにくい。が、こうして身近なところにいる人間から実例を聞かされると、アナログとデジタルの組み合わせによっては、今までにない交流と動きを生み出すことができるのだということを知った。


   翌日夕方、「ぶらっと」へ行くと、藤原監督がいた。上映会にボランティアとしてかかわった「ぶらっと」スタッフと談笑していた。「ぶらっと」って面白い。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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