復旧が進むほど「取り残されていく人々」【福島・いわき発】

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   先週の土曜日(12月3日)、カミサンが小名浜へ行くというので、車で送り届けた。海岸寄りの県道小名浜四倉線を通ったら、平豊間の信号が復活していた(=写真)。沿線に鋼鉄製の電柱が立っている。沼ノ内のボンコボンコの道路も応急措置がなされたのか、少しデコボコが収まったような感じ。仮復旧といったところか。


   きのうは内郷へ、その帰りに常陽銀行平支店へ寄った。平長橋の国道6号と駅前大通りの亜理茶ビル前の歩道でタイルを敷き詰め直す工事が行われていた。いわき駅前のペデストリアンデッキ下の歩道でも、工事が行われた。生活行動圏内だけでも修繕・修復が目に見えるかたちで行われるようになった。


   同時に、古い家が解体されて更地になる例が散見される。わが中神谷でも「郷宿(ごうしゅく)」といわれる旧家が取り壊された。カミサンの実家(平・久保町)の隣の家も姿を消した。見慣れてきた街並みの景観が、櫛の歯が欠けるように壊れていく――それも復旧への一過程だが、幼いころから景観を記憶に刻んできた人間には、寂しいものがあるようだ。


   身近な場所での修繕・修復が進めば進むほど、つまり世の中が前進しつつあるようにみえればみえるほど、まわりから「取り残されていく」と感じる人がこれから増えるのではないか。


   「仮設住宅から一歩も外へ出ようとしない人がいる」。双葉郡の同じ町から避難して来た人が仲間を心配する。その状態が解消されるような支援、つまり心のケアを考える時期にきたような気がする。それが一つ。


   もう一つ。ボランティアにも心的疲労が蓄積されつつあるのではないか。「取り残された」と感じる人にも、「取り残さない」と考えて活動している人にも、心のケアが必要になった。このごろ、そんな感じがする。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
■ブログ http://iwakiland.blogspot.com/

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