日本へ輸出されているとの報道も
日本への影響も懸念される。厚生労働省医薬食品局は12月27日、仏保健省の発表内容を踏まえて、日本美容整形学会をはじめ関係学会に向けて情報提供を行ったことを明らかにした。
厚労省によると、PIP製シリコーンバックは日本では承認されていない。しかし日本へ輸出されているとの報道もある。美容関係の医師が個人でフランスから輸入しているケースも、ありえない話ではない。
豊胸手術にはシリコーンバッグのほかにも生理食塩水バッグを挿入する場合や、自身の腹部などの脂肪を注入する方法もある。美容外科のウェブサイトを見ると、シリコーンバッグを使う場合はわきの下を数センチ切開し、そこから患者の体格に合わせて乳腺や大胸筋、筋膜の下にバックを入れるのが一般的なようだ。手術費は80~100万円程度となっているところが多い。豊胸手術を受けた人の数の国内統計は見当たらないが、米国の場合、1998~2009年で400万人と相当数に上る。
今回のPIPのケースは、低品質の素材を使った製品化という悪質な手口で、通常の医療用シリコーンバッグが問題を引き起こしたわけではない。それでもPIPが、世界中で豊胸手術への不安をあおってしまったことは大きな「罪」となった。