(ゆいっこ花巻;増子義久)
本降りの雪に見舞われた23日、花巻市内に移り住んだ沿岸被災者の子どもたちが集う、一足早い「クリスマス会」が南万丁目会館で開かれた。ゆいっこ花巻の若手スタッフが企画し、24人の子どもたちとその親たち12人の総勢36人が参加した。昼食づくりやクリスマスケーキづくりには全員が参加。イチゴやお菓子を使ったデコレーションに真剣な眼差しで取り組んだ。
「雪のクリスマスって初めて。うれしいなぁ」と伊藤遥音(はると)君(12)と桜空(さら)ちゃん(8)の兄妹は目を輝かせた。今回の大震災で大船渡市にあった家を失い、祖父が住む東和町へ。東和小6年と2年の2人は今回が初めてのイベント参加。「沿岸はほとんど雪が降らない。だから気分は最高」と大はしゃぎ。2人は小さい時から空手を習ってきた。クリスマスの25日には東京で開かれる全国大会に出場する。「昨年の大会では妹が2位、僕は3位。今日はゆいっこの皆さんに元気をもらったので、おじいちゃんに今度こそ最高のプレゼントをしなくっちゃ」
同じ会館の2階では熟年スタッフによる「手わざの会」も開かれ、約15人の被災者が「家計簿のつけ方」やブローチづくりに挑戦した。日本初の女性ジャーナリストで思想家の羽仁もと子さん(故人)は百年以上も前に日本で初めての「家計簿」を考案。昭和10年の東北大凶作を機に「農村生活合理化」運動を呼びかけた。この「羽仁案」家計簿が東日本大震災で見直された。
「無駄を省き、予算に基づいた日常生活を確立しなければ将来の生活再建もおぼつかなくなる」とみんな真剣な表情。その一人、大槌町出身の小林敏子(69)さんは「着のみ着のままで投げ出され、生活基盤をすべて失った。きちんと管理しなければ、せっかくの義援金も羽が生えたように飛んでいく。家計簿をつけることの大切さを改めて教えられた」と熱心にメモを取った。
おもちゃや縫いぐるみのプレゼントを貰って大喜びの子どもたちと、家計簿のつけ方に首っ引きの大人なたちと―。被災者の皆さんは悲喜こもごもの表情を見せながらも、大震災後初めての師走を新たな気持ちで迎えているようだった。
ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
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