「ブラジル投信」の運用成績が悪化
さらに投信市場に影響を与えそうなのは金融庁の新たな規制。問題の発端はブラジルの通貨や株、債券による投資信託の運用成績の悪化。「ブラジル投信」の多くは、12.5%もの高金利(2011年8月時点)で人気だったブラジルの通貨レアルで運用できる商品で、個 人投資家の資金が集まった。しかし、欧州危機の影響もあってブラジル経済は7~9月に前期比実質0.04%減とわずかながら2年半ぶりのマイナス成長に陥り、ブラジル中銀が利下げに転じた。
このためレアル急落を招き、ブラジル投信の運用も悪化。個人投資家の苦情が相次いため、金融庁は運用通貨を選べる「通貨選択型」と呼ばれる投信を販売する際、為替差損を理解しているかどうか書面で確認するなど慎重に対応するよう、2012年初めにも求める。人気だった「通貨選択型」の規制が「販売減の効果があるのは間違いない」(証券大手)。
国内証券各社は法人部門の不振を個人部門の利益で何とか補おうとして補えず最終(当期)赤字に陥っているのが実状だ。個人部門の利益の柱である投信の失速は、証券会社の経営にさらなるダメージを与えずには置かないと見られている。