日本銀行の白川方明総裁は、日本国債が国内の投資家によって保有されている割合が高いことについて、「短期的には安定材料になっても、先行きに問題がないとはいえない」との認識を示した。
2011年12月21日の金融政策決定会合後の記者会見で語ったもので、一般に日本国債は邦銀などの国内の機関投資家による保有割合が高いので安定的とされるが、白川総裁は「同質的な人が日本国債に投資しており、何か起きたときには同じような行動が出やすい」と指摘。国債を売る動きに火が付くと、その流れが急速に広がる恐れがあるとみている。
また、国債の外国人保有比率が上昇していることについては、「外国人の保有比率が高いかどうかは、安定消化とは関係がない」としたうえで、「その国が財政収支の均衡を維持できるという見通しがあるのかどうか、均衡を維持する意思があるのかどうかが重要だ」と語った。
そうしたなか、格付投資情報センター(R&I)は同日、日本国債の格付けを最上位の「トリプルA」から1段階引き下げ、「ダブルAプラス」にしたと発表。格下げの理由を、「政府債務残高が増大する懸念がある」としている。
なお、国内の大手格付け会社が日本国債の格付けを引き下げたのは初めて。