日本のリーダーシップはどこへいった
日本は「二大排出国の米中が参加していない京都議定書では、世界全体の温暖化対策としては不十分」と主張。議定書の延長期間に参加せず、新枠組みまで自主的な対策に取り組むことになった。「議定書の枠組みのままでは中国やインドなどとコスト競争力で差をつけられる」と警戒していた経済界は、「議定書の単純延長論にくみせず、積極的に交渉に関与した」(米倉弘昌経団連会長)と評価している。
しかし、肝心の温室効果ガス削減については、東京電力福島第1原発事故に伴う原発停止もあり、2009年に鳩山由紀夫首相(当時)が国際公約した「2020年までに1990年比25%削減」はほぼ絶望的な状況だ。今回、議定書延長期間の削減義務を負わないことも加わり、「日本が地球環境問題に後ろ向きだとの印象を国際的に与えた」(NGO)のは否めない。
現時点で新枠組みの具体的な中身は不透明だ。日米欧中印など全主要排出国が応分の責任を負う公平な新枠組み作りは、議論が具体化するほど、利害対立が先鋭化することが確実だ。京都議定書を議長国としてまとめ上げ、一時は「温暖化対策の国際協調の中心にいた」(環境省筋)日本が、国際環境外交で再び輝けるか、見通しは明るくない。