東電は「すぐに復旧させるのは無理だった」
NHKスペシャルによると、津波による電源喪失でICの弁が自動的に閉じたことについて、東電側が「意識した形跡がない」。「(ICは弁が開いていて)動いていると思っていた」という東電関係者のコメントも紹介している。冷却機能は実際にはほぼ止まっていたのに、機能していると考えていたことになる。
アメリカでは、ICについて、電源喪失で弁がしまった場合を想定して、手動で開ける訓練もしている、と紹介した。一方、福島第1原発では、「電源喪失で弁が閉まる」という認識が、「十分ではなかった」。アメリカに比べ、あまりにも準備不足で危機感が欠如していたというわけだ。
ICの弁を早期に手動で開けていればどうなったのか。
毎日新聞の9日記事は、「津波襲来から1時間以内にICを再稼働していれば、炉心溶融に至らなかった」とする独立行政法人の原子力安全基盤機構による解析結果を報じたものだ。
毎日記事の中で、東電は「真っ暗で線量の高い現場に行ってすぐにICを復旧させるのは無理だった」と反論している。
また、「1時間以内の再稼働なら炉心溶融に至らず」の文脈からははずれるが、毎日記事やNHKの放送では、津波から約2時50分後に一時的に電源が回復した後、弁(1系統に4つある)の一部について一端開いたものの、ほどなく閉じた作業を問題視するくだりもある。これに対しても東電はサイト上で「操作自体に問題はなかった」との考えを示している。
政府の事故調査・検証委員会の中間報告は12月26日に公表される。検証はどの程度進んでいるのだろうか。