「復水器の再稼働遅れ」に注目集まる メルトダウン防げた可能性あるのか

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   福島第1原発事故をめぐる政府の事故調査・検証委員会の中間報告が近く公表されることもあり、事故原因に改めて関心が高まっている。最近の報道をみると、1号機の冷却装置「非常用復水器」(IC)に関する話が目に付く。

   各種報道の論点を簡単に整理すると、電源喪失により弁が閉じて機能しなくなった1号機のICを早めに復旧させていれば、メルトダウン(炉心が溶け落ちる)を避けられた、もしくは遅らせることができたのでは、という指摘だ。

「電源喪失で弁閉じる」構造知らなかった?

東電サイト上資料で「非常用復水器」を説明している。
東電サイト上資料で「非常用復水器」を説明している。

   それだけICの機能は重要なのに、東京電力の原発幹部らは「電源喪失で弁が閉じる」構造を知らなかった、と批判するメディアもある。東京電力は、現場の放射線量が高かったことなどから「すぐに復旧させるのは無理だった」と反論している。

   「非常冷却 作動と誤解 原発幹部、構造知らず」。朝日新聞の2011年12月18日付朝刊1面の見だし(東京最終版)だ。毎日新聞は9日付朝刊で「津波後1時間内復水器再稼働なら『1号機溶融なかった』」と報じた。いずれも機能しなくなったICをめぐる東電の対応の遅れや認識不足を批判している。ちなみに東電は、ICの機能について「限定的だった」と表現している。

   原発問題を取り上げた「NHKスペシャル」(12月18日放送)でも、「(事故の)進展を遅らせ、拡大を防ぐ」チャンスがあったとして、そのカギのひとつにIC問題を取り上げた。

   ICは、冷却水循環のためのポンプが電源を失った「非常時」に使う装置だ。IC内の管に原子炉で熱された蒸気を導き、IC内に満たされた水で冷やして原子炉に戻すという、冷却用ポンプの一時的な代わりをする仕組みになっている。

   ICは2系統あり、直流電源を失うと弁が自動的に閉じる。放射性物質を閉じ込める目的だ。弁が閉じると蒸気の移動ができなくなる。

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