新規上場会社逆風の中でも底打ち 2012年は50社程度に増える見込み

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   国内の証券取引所に新規上場する企業は2011年、37社となる予定だ。昨年の22社の1.7倍。100件超が普通だった2007年までに比べれば低い水準だが、リーマン・ショックで2009年に19社 まで急減してからは回復しており、2012年も50社 程度とさらに増える見込みだ。

   株式市場は低迷しており、上場を見合わせる企業もあるなど「逆風」も吹くが、将来の成長の芽は生まれているとも言えそうだ。

25歳1カ月社長が「マザーズ」に上場

   12月7日、東京証券取引所の新興企業向け市場「マザーズ」に、上場時の社 長の最年少記録を塗り替える企業が上場した。求人情報サイトなどを運営する「リブセンス」(東京都渋谷区)で、社長は村上太一さん。25歳1カ月で、東証によると、従来の最年少記録だったウェブ広告の「アド ウェイズ」(東京都新宿区、2006年6月にマザーズ上場)の岡村陽久社長の26歳2カ月を1年1カ月更新した。

   上場日の取引終了後の会見で村上さんは「若いだけでなく、実力もある会社と言われるように頑張りたい」と話した。 業績の堅実性が見込まれ、初値は公募価格(990円) を82%上回る1800円で、好調な滑り出しとなった。リブセンスは村上社長が早稲田大在学中の2006年に設立。アルバイト求人サイト「ジョブセンス」などを運営し、2011年12月期の単体売上高は前期比69%増の10億円の見込み。

   新規上場はリブセンスのようなネット関連企業や、小売り・外食系が多いが、今年に限ると幅広い業種が目立 つ。例えば、11月29日に大証ジャスダックに上場したのは、農家向けの野菜苗の生産・販売を手がける「ベルグアース」(愛媛県宇和島市)。上場で調達した資金をもとに茨城県内に直営工場を新設し、関東地方での事業拡大を狙う。

12年は日本航空が再上場する見通し

   また、「島根銀行」(松江市)といった金融機関、北九州市に本社を置く格安航空の「スターフライヤー」など、これまで余り見られなかった顔ぶれも登場。上場を支援する大手証券会社の担当者は「今年は食品のカルビーなどを除いて大型案件が少なく、 例年は多い小売り・外食も少なかった半面、業種のバラエティーには富んでいた」と語る。

   上場は2~3年かけて準備するため、ある程度は社数の先行きが見通せる。来年は日本航空の再上場といった大型案件も控えており、今年よりは10社以上増えそう、と業界では言われている。

   ただ、欧州債務不安などもあって夏以降、株価が低迷し売買高も低調なことから、ここへきて上場を中止する動きが相 次いでいる。今年の大型案件の一つとされた、資産運用などを担う「日興アセットマネジメント」(東京都港区)は12月2日、月内を予定していた上場を延期すると発表した。IT支援サービスの「キューアンドエー」(東京都渋谷区)も11月下旬、「最近の株式市場の動向を踏まえて」(同社)当面は上場を延期すると発表。上場延期は東日本大震災直後の3件 以来。資金調達の不調を心配したもので、見通しの通り来年の新規上場数が増えるか、不安も残る。

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