政府が東京電力福島第1原子力発電所の事故について、事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が終了し、「冷温停止状態」を宣言したことについて、世論からも異論が続出している。現時点では報道各社による世論調査の結果は発表されていないが、ネット上の調査では、実に9割以上が違和感を表明している。
東京新聞社説「幕引きとはあきれ返る」
野田佳彦首相は2011年12月16日夕方の会見で、「原発の事故そのものは収束に至ったと判断される」とも表明。だが、記者からは
「被災地から見ると、なかなか容認できないという空気が強いが」
といった質問も出ていた。
12月17日の新聞各紙では、1面では「原発事故収束を宣言」(朝日)といった首相会見の内容をストレートに伝えるケースが多かったものの、社説では
「『収束』宣言は早すぎる」(朝日)
「事故収束宣言 幕引きとはあきれ返る」(東京)
といった、「『収束』宣言」の拙速さを指摘する論調も散見された。
国外メディアはさらに懐疑的だ。欧米メディアは、大半が(1)廃炉に何十年もかかる(2)避難している住民がいつ帰宅できるか分からない、といった点を専門家のコメントを交えながら紹介。原発を推進している中国の新華社通信ですら
「宣言は日本政府が国内外に事故対策の進展を示すためのもの。多くの課題を抱えており、批判にさらされるだろう」
などと伝えており、ウェブサイトには、環境保護団体「グリーンピース」が抗議活動を行う写真も掲載されている。
世論も、「収束宣言」には、きわめて厳しい見方だ。
ヤフーが行っている「意識調査」では、「現時点での『収束宣言』は妥当?」という問いに対して、12月17日16時時点で7360票が寄せられ、そのうち93%(6793票)が「妥当ではない」と回答。「妥当」(6%、414票)「わからない」(3%、153票)を圧倒的に上回った。