日本の児童の身長は平成9年~13年度あたりをピークに「横ばい」で、ここ10年以上日本人の身長は変わっていない。文部科学省が発表した「平成23年度学校保健統計調査」でこんな結果が出た。
しかも、「これ以上日本人の身長は伸びない」だけでなく、専門家の間では「今後は低くなるのではないか」という驚くべき見解も出てきた。
これが日本人「種」の限界?「環境因子」の力も尽きた
「学校保健統計調査」は、満5歳から17歳までの児童を対象に身長や体重、肥満傾向などについて毎年実施しているもので、平成23年度の調査結果によると17歳男子の平均身長は170.7cm、17歳女子の平均身長は158.0cmだった。
ちなみに、13年前の1998年(平成10年)と比べると、17歳男子は170.9cm、17歳女子は158.1cmで今とほとんど差がない。ほかの年代を調べてみても、男女問わず変化は微小で、日本人の身長は10年ほど前から「伸び止まり」しているようだ。
日本子ども家庭総合研究所の衛藤隆副所長は「日本人の成長はもうそろそろ止まったと思う」と言う。その理由は何なのか。
「もともと身長は遺伝的要因が強く出ますが、戦後右肩上がりに伸びてきたことを見ると、栄養やライフスタイルなど『環境要因』が大きく影響したと考えられます。ですが、生活環境もベストな状態となった1980年代にグラフは横向きになり、20世紀に入ってからは数字がほとんど変わりません。この結果を見れば、これ以上『伸びる要因がない』といえます」
このように、専門家の間では「日本人の身長は伸びきった」という考えが主流のようだ。しかも、衛藤副所長は「今後は、反対に小さくなる可能性もある」と指摘する。