コーナリングやブレーキングで真価を発揮
これは具体的なデータが雄弁に語っている。エンジンの重心高はフェラーリ360の447ミリ、ポルシェケイマンの482ミリ、日産GT-Rの495ミリ、スバルインプレッサWRX-STIの534ミリなどに対して、ハチロクは460ミリ。この数値の低さは説得力があり、トヨタは「世界で唯一の超低重心FRパッケージを採用した」と誇らしげに語っている。スバルは「膝より下にエンジンの重心が来る」と説明。低重心の水平対向エンジンを低くマウントするメリットは、コーナリングやブレーキングで発揮される。
その水平対向エンジンは、スバル伝統の技術がコアとなっているのは言うまでもないが、トヨタは「トヨタが誇る画期的な直噴技術D-4S(燃料噴射システム)とスバルの水平対向エンジンを融合して新開発した」と説明。あくまで「共同開発」であることを強調している。
一方、スバルはハチロクの姉妹車となる「BRZ」について、マニュアルなどでトヨタ同様に詳説。スバルとしては、これまでレガシィやインプレッサに代表されるAWD(オールホイールドライブ=4WD)がアイデンティティーだったが、FRを出すことについて「それは偶然ではない。運命だった。世界に類を見ないBOXER(水平対向エンジン)+AWDレイアウトは、もともとFRレイアウトに転用可能な素地を持っていた」と説明する。
スバルは「BOXERエンジンの資質の高さを味わうには、AWDやターボといったポテンシャルデバイスを省いたシンプルな構造のほうが、よりわかりやすい。BRZはスバルそのものをシンプルに、しかもスマートに具現化したクルマとも言える」と、レガシィやインプレッサとの違いを語っている。
シンプルさを信条とするハチロクとBRZは200万円台の価格で来春、発売されるとみられる。市場の反応が今から楽しみだ。