韓国ソウルにある日本大使館前の路上に「慰安婦記念碑」が建てられた。元慰安婦の少女時代を題材にしたというブロンズ像だ。像の「少女」が、車道をはさんでじっと日本大使館をみつめる位置関係になっている。
「韓国政府の許可を得ずに作られたのではないかと思われる」(玄葉光一郎外相)そうだが、撤去を求める日本政府の要請に韓国政府は応じる姿勢は見せていない。仮に日本で「公道に無許可の像」が建てられたらどうなるのだろうか。
撤去要請に韓国側「慰安婦問題、日本政府が努力すべき」
元日本軍慰安婦らを支援する「韓国挺身隊問題対策協議会」は2011年12月14日、ソウル市鐘路区にある在韓日本大使館前の路上に、元慰安婦を象徴するという少女像を建て、除幕式をした。「日本政府の謝罪と賠償」を求める集会が1000回目を迎えたことに合わせた形だ。
外務省によると、日本の駐韓大使は14日中に韓国側へ早期撤去を求めた。しかし、韓国外交通商部の第一次官は、慰安婦問題について日本政府が解決に向けて努力すべきだ、と説明した。撤去する気はなさそうだ。
ソウルの少女像が建てられた場所はどんな場所なのだろうか。
ソウルの日本大使館は、観光地として知られる景福宮(李朝時代の宮殿)の近くにある。大使館サイトの地図によると、同じブロックに銀行があり、近くのブロックにはアメリカ大使館や韓国国税庁、外交通商部などがある。
幹線道路から枝分かれした車道(片道1車線)に面している。車道を渡ると歩道部分があり、ここに少女像が建てられた。「真向かい」といって良さそうな場所だ。
像周辺には比較的広いスペースがある。グーグルマップでみると、このスペースを囲むようにビルが建っており、韓国の通信社「聯合ニュース」の建物もある。保険会社や商業施設もあるようだ。
比較的最近、現地周辺に行ったことがあるという東京都内の男性によると、人通りは「そこそこある」が、繁華街エリアとして知られる東大門ほどではないという。「東京でいえば、どの地区か」と質問してみたが、「う~ん、それはちょっと分からない」ということだった。
韓国大統領が来日する
ウィーン条約は、外国公館の安寧や威厳が損なわれることを防止する措置を義務付けているが、韓国外交通商部は「条約上の問題はなし」との考えを示している。
産経新聞の12月15日付朝刊報道などによると、現地の鐘路区は当初、碑の設置を許可していたが、結局は正式な許可は出さなかったという。産経新聞は、区は今では「無断設置は違法」としており、「罪に問われる可能性もある」と報じている。
今回の像の設置は、電気カッターで歩道ブロックを切断し、コンクリートの台までつくる本格的な作業だった。
ところで、仮に日本国内の公道で、無断でブロンズ像を設置したらどうなるのだろうか。
東京都建設局などによると、道路法に基付き、撤去警告の張り紙を一定期間した上、応じなければ強制的に撤去する。
像の設置許可(道路占用許可)を取ろうとしても、個人や団体に対しては出ない。国や地方公共団体のお墨付きが必要だ。
韓国の李明博大統領が12月17日に来日する。野田佳彦首相は、少女像撤去問題を切り出すだろうか。聯合ニュースの15日の報道によると、日韓首脳会談の場で、李大統領が「従軍慰安婦問題」を取り上げる、と政府当局者が述べたという。