No.1投手のダルビッシュも抜ける 日本球界の「地盤沈下」が深刻

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選手の「流入」は制限しても「流出」はほったらかしだったツケ?

   いま大リーグを目指す選手たちは、いずれも「金のワラジを履いて探しても見つからない」と例えられるかけがえのないプレーヤーである。持って生まれた素質の持ち主で、育てられる選手ではない。10年に一人、20年に一人の選手たちである。

   現在の日本球界は大リーグの「供給源」という形になっている。大リーグは生き延びるためにはどこの国の選手でも取る。その犠牲になった顕著な例が黒人リーグ。ジャッキー・ロビンソンが初の黒人大リーガーなってから十数年でリーグが消滅したことはあまり知られていない。ロビンソンによって門戸が開けられた後、次々と有力選手が引き抜かれて瞬く間に人気がなくなり、チームを維持できなくなったのである。

   日本がその二の舞にならないとは限らない。もうその兆候がはっきりしてきたと思う。野茂英雄が太平洋を渡って以来、どれほどの全盛のスター選手が大リーグのユニホームを着ただろうか。その彼らが日本でプレーしていたら魅力ある勝負が随所で見られただろうか。

   このような事態になった原因の一つに日本のプロ野球界の姿勢がある。大リーグは球団数を増加する政策を1960年代からとり、選手のレベル低下を防ぐために他国の選手を獲得することは分かっていたのに、日本は手を打たなかった。他国の選手が来日するケースについては規制していたものの、その逆については放っていた。だから野茂以来、「わがまま」を言っても大リーグへ行くことが可能になったのである。

   もちろん大リーグ挑戦は選手の夢だろうから、選手を批判することはできない。むしろ大リーグでの活躍を期待するファンも多い。一方で日本のプロ野球がつまらなくなっていく、という声を無視することもできない。人気選手の代わりは簡単には出てこない。もどかしく、やるせない問題だ。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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