日本カー・オブ・ザ・イヤーとRJCカーオブザイヤー 「日産リーフ」がダブル受賞した理由

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   今年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」(2011~2012年)と「RJCカーオブザイヤー」(2012年次)に日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」が決まり、久々のダブル受賞となった。リーフは自動車メーカーが生産した本格的な量産EVとして、海外でも「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど評価が高い。しかし、日本国内でこの二つの大賞が一致するのは、実は珍しい。

高級車vsファミリー車で棲み分ける

日産「リーフ」
日産「リーフ」

   これには理由がある。日本カー・オブ・ザ・イヤーは、自動車雑誌の出版社などが実行委員会を組織し、選考委員にはレーサーやラリースト出身の自動車評論家が多い。これに対して、RJCカーオブザイヤーはNPO法人「日本自動車研究者ジャーナリスト会議」(RJC)の主催で、会員には大学などの学識経験者や、レーサー出身でないベテランの自動車評論家が多い。RJCは、伝統ある日本カー・オブ・ザ・イヤーを「メーカーの接待づけ」や「運動性能に偏重した選考」が多いなどと批判して1991年に誕生した経緯がある。

   このため、過去の受賞車も日本カー・オブ・ザ・イヤーにスポーツカーや高級車が多いのに対して、RJCカーオブザイヤーはスポーツカーよりもファミリーカーが多いのが特徴で、それぞれ棲み分けを図っているようだ。昨年(2010年)の日本カー・オブ・ザ・イヤーがホンダのハイブリッド(HV)スポーツカー、CR-Zだったのに対して、RJCカーオブザイヤーがスズキスイフトだったことなどが、典型的な例だろう。2009年はトヨタとホンダがHVカーで一騎打ちとなったが、RJCがホンダインサイトを選べば、一方はトヨタプリウスを選ぶといった形で、両者は競ってきたとも言える。

マツダデミオ・スカイアクティブも大健闘

   過去20年の受賞例を見ると、両カー・オブ・ザ・イヤーが一致したのは、2001年のホンダフィット、2000年のホンダシビックフェリオ、1997年のトヨタプリウス、1992年の日産マーチがあるだけで、今回のリーフで5回目となる。その意味で「EVとして可能な限りの実用性を持ち、近未来的なアプローチをした」(日本カー・オブ・ザ・イヤー)というリーフの受賞理由には重みを感じる。

   一方、両カー・オブ・ザ・イヤーのノミネート車と得票数を見ると、両者の違いは今回も一目瞭然だ。日本カー・オブ・ザ・イヤーはリーフが522点で、日本車で次点となるマツダデミオ・スカイアクティブは142点で大差がついた。続いてダイハツミライースの106点、トヨタプリウスαの39点、ホンダフィットシャトルの22点となった。

   対するRJCカーオブザイヤーは首位のリーフの271点に対して、2位のマツダデミオ・スカイアクティブも205点と評価が高かった。以下、3位のミライースが186点、フィットシャトルが152点、スズキソリオが132点、プリウスαが125点で、「第3のエコカー」と称するデミオ・スカイアクティブとミライースの評価が高いのが特徴だ。

   大賞は逃したものの、デミオ・スカイアクティブは日本カー・オブ・ザ・イヤーの特別賞、RJCではテクノロジー・オブ・ザ・イヤーに選ばれるなど、リーフに次ぐ主役であるのは間違いなかった。両カー・オブ・ザ・イヤーがここまで一致するのも珍しく、その意味で今年は評価の分かれる独創的なクルマや新技術が少なかったと言えるのかもしれない。

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