サッカー日本代表前監督の岡田武史氏が、中国のプロサッカーチームから監督就任を要請され、これを受ける見込みと中国メディアが伝えている。
日本のスポーツ競技で海外から指導者を招へいするケースは多いが、日本人監督が外国チームを率いる例は珍しく、注目が集まっている。
リーグ加盟4年目でAFCチャンピオンズリーグ出場
岡田氏に監督オファーを出したのは、中国のプロサッカー・スーパーリーグのチーム、「杭州緑城」だ。本拠地は浙江省杭州市で、2010年はリーグ加盟4年目で順位を4位まで上げ、アジアのクラブチームの王者を決める「AFCチャンピオンズリーグ」に初めて出場した。
中国のサッカー専門紙によると、岡田氏は2011年12月15日にも監督就任受諾のため杭州緑城を訪れる予定だという。過去に日本人選手がスーパーリーグでプレーした例はあるが、監督となれば初めてだ。
岡田氏の日本での実績は申し分ない。ワールドカップ(W杯)では1998年のフランス大会、2010年の南アフリカ大会の2度、代表チームを率いた。南ア大会では事前予想を覆す快進撃でベスト16に進んだのは記憶に新しい。クラブチームでも1999年、当時J2に降格していたコンサドーレ札幌の監督に就任、翌年にはJ2優勝でJ1復帰を決めた。さらにJ1横浜Fマリノスで2003、2004年のシーズンに連覇を飾っている。
一方中国のサッカー事情は、日本と比べると「発展途上」と言えよう。AFCチャンピオンズリーグでは2003年の開始以降、中国のチームが大会を制したことは今までない。代表チームの戦績を見ると、日韓共催となった2002年にW杯初出場を果たすが,以後は予選を突破できず、2014年のブラジル大会も既に3次予選敗退となり、本戦出場はかなわなかった。
杭州緑城は伸び盛りの若いチームだ。クラブの施設も充実しており、チームの公式ウェブサイトを見ると、メーンとなるグラウンドに加えて8面のサッカー練習場を有するという。敷地面積は3万5000平方メートル、サッカー中国女子代表やユース代表のメンバーも利用するとなっている。またサイトには、岡田氏が12月6日に杭州を訪れて杭州緑城の幹部と会談したことが写真入りで報じられている。