朝日新聞の最新世論調査で、野田内閣の支持率は31%に下落した。「3分の1(約33.3%)」ラインを発足後わずか3か月あまりで下回った。民主党政権の鳩山、菅両内閣を上回る「スピード達成」で、朝日新聞は「政権には閉塞感が漂う」と指摘した。
2011年12月13日付朝刊に載った朝日調査によると、野田内閣への不支持(43%)が支持(31%)を初めて逆転した。前回11月調査より、支持率は9ポイント下がっている。同様の「逆転」現象が、このところ読売新聞やNHK、FNN(フジテレビ系列)の世論調査でも明らかになっている。
朝日調査で「支持率31%」へ低下
野田内閣の「支持」と「不支持」が、各種世論調査で逆転した。
朝日新聞によると、「支持率3分の1」ラインを割り込んだのは、鳩山内閣が発足の6か月後、菅内閣は5か月後だった。野田内閣の「3か月後」は、自民党の与党時代末期の福田、麻生両内閣以来の早いスピードだという。民主党政権では「最速」だ。
支持・不支持率の数値自体には各社でばらつきがあるが、最新世論調査をみると不支持が支持を「初めて逆転」した傾向は共通している。
読売新聞の調査結果(13日付朝刊)では、支持42%(前回比7ポイント減)、不支持44%。NHK(12日放送)は支持37%(同8ポイント減)、不支持42%、FNN(12日放送)は支持35.6%、不支持51.6%だった。
いずれも、野田内閣になって初めて不支持が支持を上回っており、中でもFNN調査では不支持が過半数を占めているのが目を引く。不支持と支持のポイントの差は、読売の2ポイント差から朝日の12ポイント、FNNの16ポイントまでと幅がある。
9月の野田内閣発足当時の支持率と今回とを比べると、朝日は53%から22ポイント減、読売は65%から23ポイント減と減少ポイント幅は似通っている。
低下理由は発信力不足?自民との対話不足?
支持と不支持が逆転した理由分析については、どうもはっきりしない。
朝日新聞は、「首相の発信力不足が支持率下落の大きな要因と言えそうだ」と分析している。
朝日調査をみると、野田佳彦首相が意欲をみせている消費税増税については、賛成、反対ともに45%で、「これまでの調査と大きな変動はない」。一方、「首相として何をしたいか、伝わってくるか」との質問に「こない」と回答した人が71%に上ったことを指摘している。
読売新聞は、自民支持層や無党派層の「野田離れ」を指摘した。
野田内閣が当初、「野党の意見も聞く」姿勢を示したため、自民支持層の内閣支持率は61%あったが、次第に対決色が強まったことなどから34%に低下した、と分析している。一川保夫防衛相と山岡賢次消費者相の問責決議案が可決しても野田内閣が応じる姿勢を示さないことなどが影響しているとみている。
また、具体的な分析は示されていないが、無党派層での支持率が下がったことも指摘している。
8月末の民主党代表選で、野田氏が「私が首相になっても支持率はすぐ上がらないと思う」と演説したことなどを受け、首相周辺では「支持率に一喜一憂せず」と強気の声も出ている。
一方、民主党内では、野田首相の消費税増税路線に反対する署名集めも始まっており、野田内閣の支持率低下が「署名賛同派」の追い風になる可能性も指摘されている。