死亡が確認されたテレビリポーターの奥山英志さんの失踪騒ぎには、身元判明に8か月もかかり、持ち出したとみられる財布や預金通帳、携帯電話も見つからないなど依然ナゾが多い。一体何があったのか。
奥山英志さんの「遺体発見」を最初に報じたのが、古巣のフジテレビだった。
顔の知られた奥山さんに警察なぜ気づかない?
2011年12月9日夜のニュースによると、警視庁から家族に前日になって連絡があり、家族らが写真や遺留品からほぼ間違いないと確認した。奥山さんは、1982年にワイドショー「3時のあなた」でデビューしてから10年ほど前までフジと仕事をしており、何らかのコネクションがあったらしい。
「遺体」は4月10日に東京都調布市にある都立神代植物公園の水生植物園内の障害者用トイレの中で見つかった。天井近くの荷物置き場にヒモを引っかけて首を吊った状態だった。内部からカギがかかっており、公園関係者が急病の可能性があるとして警察に通報していた。公園は、独り暮らしをしていた川崎市多摩区の自宅マンションから5キロほど離れたところだった。
そして、警視庁は12日、公園内で見つかったのは、奥山さん本人だと確認したことを明らかにした。広報課では、取材に対し、「事件性はない」と言っている。報道によると、遺書はなかったが、奥山さんは自殺したとみられている。本人であることは、指紋を照合して分かったといい、享年61歳になる。
ただ、ネット上では、異例の失踪騒ぎに疑問が次々に上がっている。
まず、顔のよく知られた奥山さんなのに、警察や公園関係者がなぜ気づかなかったのかということだ。
警視庁サイトには、4月10日ごろに公園のある住所で亡くなった45~55歳の男性が「身元不明相談」に載せられており、これが奥山さんだとみられている。気づかなかったのは、家族が神奈川県警に5月になってから捜索願を出したことや死亡で表情が変わったり身元が分かるものがなかったりしたこともある可能性はあるが、はっきりしていない。
所属事務所「自殺の理由は聞いていない」
また、奥山英志さんの自宅に財布や預金通帳、携帯電話がなかったことから、本人が持ち出したとみられていたが、なぜ所持していなかったのかも不思議だ。
ネット上では、「倒れていたから誰かがこっそり財布を抜いたんじゃないの?」「よくみたら 携帯も財布も持ってなくて、時計もないってありえんのかね」などと議論になっている。
ただ、トイレにはカギがかかっており、亡くなってから盗まれたとは考えにくい。財布などがどこに行ったかは、依然疑問の余地がある。
奥山さんは、仕事の減少や家族の介護などに悩んでおり、ここ1年ほどリポーター仲間と疎遠だったとも報じられている。しかし、自宅では洗濯物が干してあり浴槽に水もたまっていたといい、「自殺」の動機もナゾが多い。
奥山さん所属事務所のよしもとクリエイティブ・エージェンシーに取材すると、広報室ではこう話すだけだった。
「警察などが本人と分からなかった理由については、まったく聞いていません。所持品については、警察から説明はありませんし、聞く立場でもないです。また、確実に遺族に伝えているかも確認できていません。遺族を通じて、自殺の可能性が高いと警察から伝えられたと間接的に聞いているだけで、その理由についても聞いていません」