幸福国家「ブータン」ばかりなぜ目立つ 日本の「豊かさ」再調査へ

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国民の関心は「安心できる年金制度」

   ただ、かつての豊かさ指標と比べ、今回の幸福度は、主観的な数字も含めるなど、工夫はしている。例えば、「経済社会状況」の判断材料には、子どもの貧困率や育児休暇の取得率のほか、「放射線量への不安」なども採用。「関係性」では、家族や友人との接触密度とか、「困っている人を助けるのは当然だと思う」割合なども活用するという。

   こんな指標の開発に政府が熱をいれるのは、日本人の幸福感が低いことがある。昨年4月、内閣府がどの程度幸福と感じているか、という調査をまとめた。「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点として、11段階で聞いた平均が6.5点(男6.2点、女性6.7点)。欧州28カ国で実施された同様の調査は、デンマーク8.4点、フィンランドとノルウェー8点、スイス7.9点などが高く、欧州平均は6.9点。イギリスの7.4点、ドイツの7.2点、フランスの7.1点に比べても日本は低い。

   なぜか。同じ内閣府の調査で、国民の幸福感を高めるために国が目指すべき目標は、という質問への回答で、1位が「安心できる年金制度」、2位が「安心して子を産み育てられる社会」、3位が「雇用や居住の安定確保」という順だった。経済大国になり、豊かになったのに幸福度は低いと、多くの人が漠然と感じているが、実は経済大国といいながら、年金、雇用など生活の経済面の不安が大きく、それが幸福度を低くしていると読める調査結果だ。

   幸福感を高めるために、年金や医療など将来不安をなくし、格差社会といわれる社会の二極化を是正し、子育ての不安を解消することが必要――。真理はシンプルな回答に宿るようだ。

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